日本企業の情報システム部門にとって、「Oracle Database(DB)」を使った既存システムのコスト削減が課題になっている。

 この数年間、Oracle DBのユーザーは度重なる米オラクルのライセンス戦略の変更に悩んできた。代表的な出来事の1つが中小規模のシステム向けのライセンス「Standard Edition(SE)」と「Standard Edition One(SE1)」が2016年に廃止になったことだ。オラクルはSEとSE1の後継として、新たに「Standard Edition 2(SE2)」と呼ぶライセンスを用意した。

 しかしSE1のユーザーにとってSE2への移行は値上げを意味した。1プロセッサ当たりのライセンス費用はSE1の69万6000円に対して、SE2は210万円と3倍になった。SEのユーザーにとっては、1プロセッサ当たりのライセンス費用は変わらないものの最大で利用可能なプロセッサ数が4から2に減るなど「実質値上げ」となった。

 こうしたライセンス変更や、毎年数パーセント上がる保守料金などに悩むユーザー企業は多い。そんな企業が今、Oracle DBのコスト削減に本腰を入れ始めた(図1)。

図1●Oracle DBを取り巻く動き
ライセンス体系の変更が相次ぐ一方、Oracle DBの稼働環境の選択肢が増えている
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 きっかけの1つが、2019年5月8日に日本オラクルが開設した「Oracle Cloud」の東京リージョンだ。これまで国内に、オラクル自身が開設したデータセンターはなかった。東京リージョンの開設により、日本のOracle DBのユーザーがクラウドサービスを選択しやすくなり、コスト削減の手段が増えてきた。

勇気を出して保守を切る

 Oracle DBのコストを削減したい場合、最初に考えるポイントは、Oracle DBを使い続けたいかどうかだ。「Oracle DBをやめる場合、他のDBへの移行コストは高く付く」とアシストの岸和田隆 データベース技術本部 技術統括部 ビジネス推進部部長は指摘する。そのため「DBを見直したいと考えるユーザーの80~90%はOracle DBの利用を継続する」(岸和田部長)。Oracle DBは基幹系や顧客向けサービスなど、高可用性が必要なシステムでの利用も多くやめにくいのが現状だ。

 ではOracle DBを使い続けながら、どのようにコストを削減していくのだろうか。Oracle DBを利用したシステムの費用は、ライセンスのほかにハードウエアや運用費用などが含まれる。このうち「ライセンス費用だけを削るというのは簡単ではない」と岸和田部長は話す。

 Oracle DBの利用を継続しながらライセンス費用を削減するには、DB統合などにより、Oracle DBそのものの利用数を減らすことが最も効果的だ。しかしDB移行と同様に統合作業の費用を含めるとコスト削減の効果を得にくい。

 DB統合をせずに可能な、数少ないライセンス費用の削減方法の1つが、契約を見直すことだ。「包括契約にして、ライセンスをコントロールしやすくする方法がある」と岸和田部長は話す。オラクルは大企業やオラクル製品を多数利用している顧客向けに「無制限のライセンス契約(ULA)」を用意している。ULAは複数年でオラクル製品の利用を契約することで、通常よりも割引になる。ただし、オラクルはULA利用の詳細な条件を明らかにしていない。

 限られたユーザーしか利用できないULAに対して、全てのOracle DBのユーザーが実行できるのが「思い切って保守契約をやめることだ」とガートナージャパンの一志達也リサーチ&アドバイザリ部門アプリケーションズ ジャパン シニアプリンシパルアナリストは話す。

 ただしこの方法は「勇気のある決断になる」(一志シニアプリンシパルアナリスト)。オラクルの保守契約は一部だけを打ち切れず、社内の全てのオラクル製品の保守契約をやめることになるからだ。保守をやめる場合、「第3者保守サービスなどを利用しながら、Oracle DBの移行先を探すのが現実的だ」と一志シニアプリンシパルアナリストは話す。

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