デジタル化を推進しようとすると、必ずと言ってよいほど壁に突き当たる。先進企業は信念を持ってそれらの壁を乗り越えようとしている。SOMPOホールディングス、全日本空輸、三井物産の3社の取り組みを紹介する。

 デジタル技術を積極的に活用して、新規事業の創出や既存事業の大幅な効率化を実現することが「デジタル化」だ。デジタル化は多くの企業にとって、前例のない取り組みである。困難な壁に突き当たることが少なくない。デジタル化を推進するSOMPOホールディングス、全日本空輸、三井物産の3社はそれぞれ異なる壁に直面し、乗り越えた。

データ不足の壁
機械学習の元データが不足

 SOMPOホールディングスは全社を挙げてデジタル化に取り組む1社。直近では、介護分野で活用する最新テクノロジーの検証施設「Future Care Lab in Japan」を開設する他、生活習慣病リスクを予測する人工知能(AI)を東芝などと共同開発する。

 様々なデジタル化プロジェクトを推進しているのは、専門組織であるデジタル戦略部。同部が設置された2016年以降、新サービスの創出や企業提携、PoC(Proof of Concept、概念実証)に取り組んでいる。

 デジタル戦略部が扱うPoCは、年間で約40件で、そのうち本サービスになるものは約10件。途中で打ち切られるものが約15件だという。残りの約15件は、翌年以降に持ち越される。本サービスになる企画よりも、中止になる方が多いのが実情だ。

 中止の原因は、当初見積もった費用対効果を見込めないか、サービスの品質が一定レベルに達しないかのどちらか。そうなってしまう理由として、特に「データが不足していて、サービス品質を高められなかったケースが多い」と、SOMPOホールディングスの中林紀彦チーフ・データサイエンティストは打ち明ける(図1)。

図1●SOMPO ホールディングスが直面した「データ不足の壁」
パートナー企業を巻き込むことで自社に無いデータの獲得に成功した
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 例えば、2018年に打ち切りになった案件の一つに、クルマのドライバーの眠気を察知するアルゴリズムの開発プロジェクトがある。ドライバーを撮影したカメラ画像や自動車の加速度、ブレーキのタイミングといったデータから、眠気がくる5分前に予兆を検知しようとした。

 しかし、予兆検知の精度を約7割までしか高められず、断念した。「ドライバーの脳波などのデータが加われば、精度を上げられたかもしれない」と中林チーフ・データサイエンティストは振り返る。

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