前回は米Intelのデプスカメラ(深度計測カメラ)「Intel RealSense Depth Camera D435i」を紹介した。今回も引き続き、Intel RealSenseの製品群の1つを紹介しよう。取り上げるのはV-SLAM(Visual Simultaneous Localization And Mapping)を採用したトラッキングカメラの「Intel RealSense Tracking Camera T265」だ(写真1)。

写真1●Intel RealSense Tracking Camera T265
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 トラッキングカメラとは、簡単に言えば自分自身の向きや位置をリアルタイムに把握するためのカメラである。位置といっても、GPSなどの絶対的な位置を表す緯度・経度・高度のような情報ではなく、基準位置から見た相対的な空間的位置を計測する。

 前回紹介したD435iと同じく、T265にはIMU(Inertial Measurement Units)が内蔵されている。つまり、加速度センサーとジャイロスコープが内蔵されているということだ。理論的には、これらのセンサー情報だけである程度の向きや移動の軌跡を把握できるはずだが、実際にはほとんど使い物にならないだろう。そこでT265には魚眼レンズがついたカメラが2つ内蔵されている。この2つのカメラ映像とセンサー情報を組み合わせて解析することで、向きと移動の軌跡を正確に把握できるのだ。

 カメラ映像を使って位置情報を把握する技術は「V-SLAM」と呼ばれる。V-SLAMはAR(拡張現実)やVR(仮想現実)に加え、自律走行型ロボットに使われている。現実に使われている技術とはいえ、IMUの計測情報とカメラ映像が入手できたとしても、V-SLAMを自身で実装することが容易でないのは誰でも想像できるだろう。筆者がもしV-SLAMを学ぼうとしたら5分で寝てしまう自信はある。

 T265のすごいところは、この解析もリアルタイムで行ってくれるところだ。T265には、ディープラーニング(深層学習)の計算処理ではおなじみの「Intel Movidius Myriad 2」と呼ばれるVPU(Vision Processing Unit)が内蔵されており、V-SLAMの処理をリアルタイムに行う。VPUは監視カメラなどのエッジで、推論処理を実行できるプロセッサだ。

 筆者はIntelの公式サイトからT265を直接購入した。本体価格は199米ドルで、送料も合わせて日本円で2万6000円弱だった。到着時には輸入内国消費税と手数料を合わせて2000円強を現金で支払う。合計金額は2万8000円ほどになった。ホストPCとの接続はUSB3.1だが、スペック上はUSB2.0でも動作するようだ。T265側のコネクターはあまり一般的ではないUSB3.0 Micro-Bなので注意してほしい。同梱のUSBケーブルを使ったほうがよいだろう。

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