手作業の業務をRPAに置き換える場合、PCの操作方法を「操作手順」として洗い出す必要がある。操作手順はロボット開発の設計図と言えるもの。過不足なく書き表せないと、手戻りなどが発生しがちだ。可視化ツールなどを駆使して、効率良く操作手順を洗い出そう。

 今回はRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の典型的な失敗パターンの1つである「操作手順を洗い出せない」の事例について紹介します。さらに、そうならないための、「操作の可視化」の上手な進め方や可視化すべき内容などについて説明します。加えて、操作手順の可視化に有効なツールについても紹介します。

操作手順を洗い出しきれない

 ある企業では、RPA導入を進めており、現状の業務を可視化したうえでRPAを適用する業務を見極めました。こうして、RPA導入後の姿を示したTo-Beフローを作成しました。

 作成したTo-Beフローに従って「操作の可視化」を進めました。操作の可視化とは、RPAのロボットに実行させたい業務でPCを操作する手順を明らかにすることです。この工程で明確にした操作手順をドキュメントに記述し、RPAのロボットにその作業を置き換えるというわけです。

 この企業では、操作を洗い出すために業務マニュアルを参考にしました。システムやツールごとに用意されたマニュアルから操作手順を把握し、不明点がある場合のみ、業務現場へヒアリングしました(図1上)。

図1●操作手順の洗い出しに失敗した例
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 この方法で操作手順を作り、ロボットの開発工程に進んだところ、うまくいきませんでした。操作手順の記載内容が不足していたためです。開発に入っているのにもかかわらず、記載漏れがたびたび判明しました。その都度、必要な情報を得るために業務現場に問い合わせ、操作の仕方を確認する、といった手戻りが多数発生してしまいました。

 このケースの失敗原因は、業務マニュアルを基準にして操作手順を洗い出そうとしたことです。確かに業務マニュアルは、システムの操作手順を書き表したものですが、人が読んで理解できるレベルで書かれています。RPAのロボットが実行すべき操作手順としては、情報が足りないことが多いのです。

 例えば、マニュアルに「△△システムにログインする」と記載してあった場合、人に対してはこの記述内容で十分ですが、RPAのロボットを動作させるためには情報が不足しています。ログイン用のIDやパスワードは何を使うのか、それらのIDやパスワードはどのように管理するのかなどを決めておかなければなりません。

 また、業務の進め方が変わっているのにマニュアルが更新されていないこともよくあります。同様に、マニュアルはあるものの、担当者ごとに少しずつやり方や手順が異なる現場もよく見かけます。現場担当者にヒアリングするとき、こうした状況が起こっている可能性を考慮しなければなりません。いずれにせよ業務マニュアルをベースに操作手順を洗い出しても、実情を見誤ってしまう危険性があるのです。

 結局この企業では、操作手順をもう一度作り直しました。そのときは、業務マニュアルを当てにせず、後述する可視化ツールを使いました。これにより、漏れなく操作手順を洗い出すことに成功しました。

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