データ基盤の構築に頭を悩ませているエンジニアは少なくない。設計には大きく3つのパターンがあり、自社に合わせた選択が肝要だ。データ基盤の設計パターンと基盤を活用できる組織体系を解説する。

 現在、デジタルトランスフォーメーション(DX)の流れを受けて、多くの企業が「大規模なデータ収集」「高精度の分析能力」「リアルタイムな処理能力」を実現できるデータ基盤の構築を目指しています。ところが、具体的にどう構築すればよいのか、どう設計すべきか、と言われると悩んでしまう人は少なくありません。中には、よく分からないままデータ基盤を構築してしまい、非常に後悔したというケースも見られます。

 この連載では、これからデータ基盤の構築や運用を始めようとするエンジニアのために、目指すべきデータ基盤は何か、構築時の注意点は何か、といった内容を解説します。今回は、多く利用されているデータ基盤の設計パターンと、データ基盤を活用できる組織体系について説明します。

データ基盤の5つの新常識

 データ基盤は、企業の利益を左右するビジネスの意思決定に欠かせません。例えば、1カ月後に開催されるイベントにどのぐらい集客があるのか、新規店舗をどの場所に出店すべきか、といったことをデータ基盤を活用して分析できなければ、機会損失が発生してしまうでしょう。スタッフを何人ぐらい集めるべきか、商品をどのぐらい仕入れればよいか、といったことが分からないからです。このような意思決定を人の経験や勘に頼って決めてしまうと、現実と大きなズレが生じてしまいます。

 データ基盤を活用して精度の高い分析ができれば、経営者や責任者がより高い利益を得るための判断を下しやすくなります。最近では、センサーやモバイル端末といったIoT(インターネット・オブ・シングズ)の技術が発展し、収集・分析するデータ量が大幅に増えています。また、AI(人工知能)技術の発展により、データの分析や仮説検証を人の経験や勘だけに頼るのは時代遅れとなりました。大規模なデータをAIを駆使して分析することで、現実とのズレがなくなり機会損失を最小限に抑えることが可能になります。

 つまり、現在のデータ基盤には、より膨大なデータを蓄積したり、それらのデータをAIなどでリアルタイムに分析したりする能力が求められているのです。

 このような要求に対して、従来のデータ基盤とは異なる様々なタイプのデータベースが生まれ、多様な構成が考えられています。まだ発展途上の段階なので、最善手と呼べるものは確立されていません。ですが、ビジネスの競争を勝ち抜くために、DXでいかに先手を取るかをテーマに模索が続いています。

 現在のデータ基盤における5つの新常識を紹介します(表1)。DXの流れを受けて、現在のデータ基盤には、これまでとは異なる処理能力が必要になっていることが分かるでしょう。

表1●データ基盤の新常識
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