体制図に入っていない人の発言が、プロジェクトの進行を左右してトラブルを招く。単にハコを並べてラベル付けしただけの体制図で、役割分担が不明確だからだ。管理タスクは階層化して分割し、それぞれの役割を定義して文書化しよう。

 プロジェクト内の役割分担の問題は、チームのリソースや要員スキルにかかわらず発生することがあります。リソースを集めただけでは体制は機能せず、関係者に必要な役割をうまく割り当てる必要があるからです。

 プロジェクトが逼迫した状況に陥るほど、メンバー相互のカバー範囲に「のりしろ」がなくなって、穴が開きやすくなります。特に、直接モノを作る部分ではなく、管理や合意形成に関わる部分に取りこぼしが出てきやすいものです。

 役割分担が不十分なプロジェクトでどんなことが起こるか、見ていきましょう(図1)。

図1●プロジェクトメンバーの役割分担がないがしろになってトラブルを招く
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そして誰も管理しなくなった

「一体このプロジェクトって、誰がPM(プロジェクトマネジャー)なの?」

 開発2課長の城野志乃子は悲鳴のような声を上げた。

 会計領域のPL(プロジェクトリーダー)、大木豊は平然と、皮肉な口調で答える。

「PMは隈本さんですよ」

「知ってるよ、そんなこと」

 大木に当たっても仕方がないと思いながらも、城野の声は尖る。

「じゃあ、マスタースケジュールも変更管理プロセスも、隈本さんが決めなきゃダメじゃない。なのに彼、何でこの打ち合わせに出てこないわけ?」

 城野課長が招集した今日の社内打ち合わせの主題は、マスタースケジュール案と変更管理プロセス案の社内レビューだった。顧客の黒田総務部長から、担当営業経由で、かなり厳しいクレームが入ったのだ。

 黒田総務部長は、総合検証計画のマスタープランがいつまでも出てこないことに相当いら立っていて、今後の契約の枠組みを見直したいとまで言っている。城野課長としては、顧客との合意形成の段取りを含めて、即刻方針を決めてしまいたいと思っていた。

 そもそも総合検証計画のマスタープランは、受託ベンダーだけで決められるものではない。顧客側の検討と決定を促す動きも必要なのだが、現状ではマスタースケジュールすら合意できておらず、誰がいつ何をするべきかも曖昧なままだった。早急に何とかしなければ、破綻は見えている。

 ところが蓋を開けてみると、肝心のPMが勝手に社内打ち合わせを欠席していたというわけだ。

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