ITエンジニアの新人研修が変わりつつある。デザイン思考やAI、IoTなど、先進技術の講習を取り入れたり、選択式の研修を採用したりする企業が相次いでいる。今求められる、ITエンジニアの基礎スキルとは何か。新人SE教育の最前線に迫った。

 新入社員が現場に配属されるまでに、一定期間の研修を通じて必要最低限の知識とスキルを身に付けるのが新人教育だ。IT企業の新人研修の内容を見れば、今のITエンジニアが土台として体得しておくべき知識やスキルが明確になる。

 大手IT企業では今、何を重視し、どんな内容の新人研修を実施しているのか。ここ数年で新人研修カリキュラムを大きく見直したIT企業5社への取材を通じて最新動向を明らかにする。

新人のスキルレベルが2極化

 ITは進歩が速いため、IT企業が新人研修の内容を見直すことは決して珍しくない。しかし、直近2~3年で比較的大きな変更を実施した企業が多い。その内容を分析すると「技術の高度化」「新人の多様化」「ビジネスの変化」の3つの変化に対応していることが分かった。

新人SE教育に見直しを迫る環境変化
「技術の高度化」「新人の多様化」「ビジネスの変化」の3つの変化に対応できる教育内容が求められる
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 1つ目の技術の高度化については、ほとんど説明が不要だろう。人工知能(AI)やクラウドなど、近年新しい技術が急速に普及し始めた。これらの技術について、新人といえどもある程度の知識が必要と判断した企業が新人研修を見直し、基礎講座を設け始めている。

 2つ目の変化が「新人の多様化」だ。NECの松本邦雄SI・サービス企画本部エキスパートは、最近の傾向が変わってきたという。「従来は、ITシステムの構築についてほぼ何も知らない状態で入社する新人がほとんどだった。しかし最近は、入社時に既に高いITスキルを持つ新人とそうでない新人との差が大きくなった」と語る。

 高度なITスキルを持つ新人が増えたのは、クラウドを通じて最新テクノロジーを手軽に利用できるようになったからだろう。大学時代に人工知能(AI)を研究しており、当たり前のように自分でシステムを構築してきた、といった新人が珍しくなくなったという。このため、高いスキルを持った新人に対して、研修期間が時間の無駄にならないよう内容を見直す企業が増えた。

 スキルの高い新人がいる一方で、PCをほとんど使ったことがないという者もここ数年で急激に増えたという。複数のIT企業の新人研修担当者が口をそろえる。スマートフォンの普及で、PCを用意しなくても様々なインターネットサービスを利用できるようになったことが関係しているようだ。ITエンジニアがPCの操作に不慣れでは仕事にならない。これも、新人研修を見直す1つの要因だ。

 3つ目は「ビジネスの変化」である。今、増えているのは、デジタルトランスフォーメーション(DX)案件。デジタル技術を駆使することで製品やサービスを生み出したり、業務プロセスを抜本から変えたりするプロジェクトだ。

 従来のシステム構築プロジェクトとDX案件とでは、ITエンジニアに必要とされるスキルが大きく異なる。仕様が不明確なことが多いDX案件で特に必要となるスキルを付けるためのカリキュラムを用意する企業が出てきた。

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