働き方改革関連法の施行を2019年4月に控え、IT職場の改革は待ったなしの状況だ。しかし、やみくもに改革を唱えても残業削減や有休取得はうまく進まず、休めないSEを生むだけだ。改革を阻む厄介な存在を押さえ、対策を打つ必要がある。

 IT職場にはびこる「休めない雰囲気」や「帰りにくい雰囲気」を打破するには、SE個人の行動が変わらなければならない。SEが能動的に行動を変えるような現場にするには、それを支える仕組みと制度が欠かせない。これを用意しないのは、経営層が働き方改革を阻むようなものだ。

 「SCSKの働き方改革は、初年度に失敗を経験した」。働き方改革で先頭を走るSCSKの南政克人事グループ人事厚生部労務課課長はこう打ち明ける。南課長は「2012年7月から、現場の工夫で残業半減を目指す取り組みをした。開始してすぐは減ったが、年度末には元の残業時間に戻ってしまった」と明かす。

働き方改革のトップランナーであるSCSKも初年度に苦労
改革に着手した2012年度の平均残業時間の推移。SCSKの資料を基に作成。
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 IT職場の働き改革は、SEが行動を変えられるかどうかにかかっている。ところが、「働き方改革を実施している企業の社員を対象にしたアンケート調査では、52.2%が残業削減施策の効果を実感していなかった」(パーソル総合研究所の小林主任研究員)というのが現状。現場の納得感がないままに働き方改革が進んでいるのだ。

 こうした状況では、SEが能動的に行動を変えようという機運は生まれない。一時的に残業や有休取得の数字が改善しても、時間がたつと元に戻ってしまう。または、数字のつじつまを合わせるため、昼休みや帰宅後に働くといった「見えない残業」が増えてしまう。2018年のユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされて注目を集めた「ジタハラ(時短ハラスメント)」の横行だ。

 働き方改革は、経営層主導の全社施策と現場の工夫・改善の両輪で成り立っている。しかし「多くの企業の働き方改革で、全社施策に欠けている要素がある」(パーソル総合研究所の小林主任研究員)。現場を支える仕組みと制度だ。

全社施策と現場改善が働き方改革の両輪
現場を支える仕組みと制度がないと、一時的な効果で終わる
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 現状の全社施策は、残業時間や有休取得率といった数値目標の設定と、ノー残業デーや残業時間の上限設定といった強制力のあるルールの設定に偏っている。行動を変えようとするモチベーションを高める仕掛けや、行動を変えやすくするための環境整備が足りていないのだ。

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