本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 2018年、米国カリフォルニアにある米グーグル系のWaymo社の自動運転テストコース、通称“Castle"を、ディープラーニングベースの自動運転車「Chrysler Pacifica」が駆け抜けた(図1、図2)。

 ディープラーニングベースといっても、他車や歩行者の画像認識にディープニューラルネット(DNN)を使ったという話ではない。人間の熟練ドライバーの運転操作データ60日分を真似するよう学習させたディープニューラルネットが、一種の“仮想ドライバー”としてこのミニバンを制御したのだ。グーグルのCastleには公道さながらの道路や信号、標識、街路樹などが再現されており、DNNベースの自動運転車はこれらの信号や車線を正しく認識し、右折や停止などをスムーズにこなした2)

図1 グーグルWaymo社もついに模倣学習に
ディープラーニング技術ベースの模倣学習技術を、実際の自動運転車に適用し、自社のテストコースで試し始めている。なお、上の写真は通常のplanner(非DNN)による走行の様子。(写真:Waymo社)
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 Waymo社はグーグルの自動運転車開発部門が分社化し、2016年に設立された企業である(現在はグーグル親会社のAlphabet社傘下)。

 本社のあるカリフォルニア州だけでなく、テキサス州オースチンやアリゾナ州フェニックスなど、全米各地の都市で累計500万マイル(800万km)にも上る公道試験を既に実施しており、自動運転技術について世界で最も進んだ企業だと言える。

 そして、親会社のグーグルは本誌が度々解説しているようにディープラーニング技術で世界最高峰の企業の1つである。ロボット向け深層強化学習の権威であるSergey Levine氏、生成モデル「GAN」の考案者であるIan Goodfellow氏などスター研究者が在籍しているほか、傘下の英DeepMind社にもTimothy Lillicrap氏をはじめとした深層強化学習の著名研究者が多く在籍している。

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