本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 筆者が教鞭を執っている英University of Cambridge工学部では学部2年生全員にロボットの設計・製作実習が必修科目として義務付けられている。

  工学部自体は機械、電気、土木、情報、経営工学などの7学科から構成されており、ほとんどの学生はあまりロボット工学とは関わりのない専門分野に進むことになるのだが、それでもロボット設計・製作の実習はエンジニア育成のもっとも重要な基幹科目として位置付けられており、他のどの実習よりも時間と予算を費やして実施されている。なぜこれほどまでに重要視されているのであろうか。

システム設計プロジェクト

 この実習はシステム設計プロジェクト(Integrated Design Project、通称IDP)という名称で呼ばれており、実習はロボットコンテスト形式で行われる。競技の内容は毎回変わるが、ほとんどの場合はライントレースの移動ロボットに簡単な物体把持メカニズムなどを組み込み、物体の検知、搬送、収納などの自動化タスクが課題となる(図1)。競技自体は決められた時間内にどれだけの仕事を達成できたかによって順位が決められる。

図1 学部生が実習で開発したロボット
ライントレースに物体把持機構などを組み合わせている。
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 ここまでは一見、どこにでもあるロボット製作実習のように思われるが、この実習が重要視されている理由はこの中に施されている様々な工夫によるところが大きい。

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