本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 以前のコラム(2015年9月号)では米国での研究資金獲得について述べた。獲得した資金を元に研究を担うのは主に博士課程の学生である(生命科学分野ではポスドクが主に研究を担う。工学系では博士課程学生がメインである)。今回は米国の博士課程について述べたい。

 彼らは学生として授業を受け単位を取得すると同時に、研究者として給与(サラリー)を受け取り研究を行う。研究成果が出ればそれを論文として発表し最終的に博士論文としてまとめる。

 学部から大学院に進んだ後、一般的には5~6年で博士号を取得する。多くの大学院では修士課程も提供されており、ほぼ2年で修士号を取得する。学位の種類と必要な年数などは日本の大学とほぼ同じと考えてよい。

 しかし、研究者である博士課程学生と、知識習得あるいは職業訓練の側面が強い学部と修士課程の学生との間ではかなりの違いがある。なお、我々の分野では修士号は博士号のための必須要件となっておらず、また修士論文を課さない修士プログラムも増えている(学士論文はもともと存在しない)。さらに論文研究を(半ば強制的に)課す研究室配属というシステムが存在しないので、修士号までは全く研究をしなくても構わない。博士課程に在籍しない限り、本格的に研究に携わる機会は限られている。

 大学院生の質の高さには驚かされる。学生は書類選考で選抜するのだが(後述)、成績優秀で企業経験あるいはインターンの経験があり、さらに学部のうちに数本の論文を発表し、数種類の奨学金(スカラシップ)を獲得していた、というような欠点らしきものが見当たらない学生が国内外問わず大量に応募してくる。

 彼らの多くは大学院でロボット研究に従事する希望をかなり以前に固めて入念に準備してきている。しかし受け入れ人数に制限もあるので、そのような優秀な応募者からさらに合格者を選抜するような状況である。

 もちろん優秀な学生はMIT、Stanford University、CMUなどにも合格するので、こちらとしては指導教員を早めに確定したり資金援助を確約するなどして確保に努める。この状況は入試というよりは就職活動に近い。

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