本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 工業用ミシン大手のJUKIは、靴のかかと部分(図1)を自動的に縫い上げる「3Dロボット縫製機」(図2)を開発した。

 今のところ、靴のかかとに限定されているとは言え、靴のような立体物をロボットで自動的に縫製する機械は非常に珍しい。

 繊維産業は工業用ミシンをはじめ、さまざまな機械を考案して生産の合理化を進めてきた。

 しかし、実際の工場へ行くとまだまだ機械化できていない工程が多く、多数の人手に頼っている。このため、繊維産業は安い人件費を求めて、日本から中国そして東南アジア各国へと移動している。

図1 靴のかかとの部分の縫製にロボットを導入
かかとの部分において、外側の革と内部の樹脂製の芯を縫い合わせる作業にロボットを適用した。
[画像のクリックで拡大表示]

 JUKIは中国や東南アジアに工業用ミシンなど多数の製品を輸出しているが、そのJUKIが輸出先の中国から聞くのが「もっと自動化してほしい」という強い要望だという。

 「中国の安い労働力」という言葉はすでに過去のものであり、ロボットなどを用いて一層の自動化を実現しないことには重要な産業を失ってしまうという危機感を持っている。実際、中国政府は機械メーカーに補助金を出して自動機械の開発を推進しているとのことだ。

きっかけは自動車部品の生産

 このロボット縫製機を開発したのは、JUKIの技術開発部。「何年か先の技術について研究する部門で、目先の製品開発にはあまり携わらない」(技術開発部 副部長の鎌倉新治氏)のだというが、その研究チームに数年前、ある顧客から「靴のかかとの立体縫製をどうしても自動化したい」という話が来た。

この先は日経Robotics購読者限定です。