本記事はロボットとAI技術の専門誌『日経Robotics』のデジタル版です

 これまで床に据え付けて1カ所で特定の作業をすることが多かったロボットアーム。それが、ここにきてついに人と同じ空間で自走するようになってきた(図1)。

 無人移動台車(AGV)の上にロボットアームを搭載。部屋のあちこちで多様な作業を実施したり、ある空間内でピッキングしたモノを別の場所に自ら運んだりする。6軸のマニピュレータがオフィスビルや工場、物流、医療など様々な現場で自ら動けるようになれば、ロボットの利用価値は飛躍的に上がる。

 ロボットアームを自走できるようにしようというアイデア自体は決して新しいものではない。ヒューマノイドロボットに代表されるように「各種の作業をこなすアームがあり、それが自ら移動できる」という形態は、ロボットの研究が始まって以来、常に実用化すべきマイルストーンとして意識されてきた。

図1 自律移動する双腕ロボットが血液検体をピッキングして搬送
血液が入った容器をアームで自らピッキングし、荷台に載せて他の装置に搬送。再びピッキングして投入する作業までを1台でこなす(本記事の後半で、本事例の詳細を解説)。
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 しかし、移動機構にロボットアームを載せるという形態は、研究事例こそ多くあるものの、産業レベルでの実用化はあまりなされてこなかった。一見、誰もが考えるような当たり前の形態でありながら、企業の現場での実用事例は非常に少なかった。

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