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 ファナックが2018年2月に買収した協働ロボットのベンチャー企業、ライフロボティクスを吸収合併したことが日経Roboticsの取材で分かった。既にライフロボティクスのロボット「CORO」のユーザーにはファナック製ロボットへの無償交換を打診しており、現状のCOROは原則として回収する。新規販売も既に停止中だ。

 法人としてのライフロボティクスも解散する。東京にあるライフロボティクスの本社オフィスは2018年6月いっぱいで引き払う予定だ。従業員の一部は既にファナックに移籍。ライフロボティクスのオフィスがあった東京周辺から引っ越し、山梨県忍野村のファナック本社地区で勤務している。

 ライフロボティクスのCOROは肘関節のない伸縮型の機構を採用し、省スペースで設置できることから、食品・外食産業などこれまでロボットの導入が進んでいなかった業界で期待を集めていたロボットだった。

 本誌でも吉野家の牛丼店舗での導入事例など食品業界、さらには化粧品業界での導入事例などを紹介してきた。本誌が2016年11月号で報じたようにライフロボティクスはソフトウエア技術の面でも「形式手法」という先進的な手法を導入し、ロボットの内部ソフトの品質を確保するなど、この点で高い技術力を持っていた。

 そうした中、ファナックはライフロボティクスのロボット製品をなぜ今のタイミングでストップすることにしたのか。本誌はCOROのユーザー企業などに取材し、全貌を解明。さらにファナック 代表取締役会長 兼 CEOの稲葉善治氏にもインタビューし、事の全真相を聞いた。

(聞き手=進藤 智則、長場 景子)

買収からわずか3カ月後に、買収先のロボットを回収することとなった。経緯を教えてほしい。

 伸縮型というCOROのコンセプトは非常にユニークだ。我々もその点に興味を引かれ、2月に買収して子会社化した。しかし、やはりCOROはまだ試作の域を出ていないというのが実態だ。このままお客様にお使いいただく訳にはいかないと判断し、回収をお願いすることにした。

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ファナック 代表取締役会長 兼 CEOの稲葉善治氏

 ライフロボティクスはベンチャー企業であり、彼らは量産の経験なしに商品を開発してきた。ファブレス型の企業であり自社の工場も持っていないし、品質管理のための組織も社内に存在しなかった。

  ハードウエア系のスタートアップ企業にはそういうところは多いだろうから、何もライフロボティクスに限った問題ではなく、これは仕方のないことだろう。

 我々は、お客様の工場を止めないというコンセプトを最優先にしてやってきた。そういう意味で、我々が考える信頼性がCOROでは確保されていなかった。現実にCOROのユーザーの間でも障害がかなり多く発生しており、我々はその対応に全力を挙げている。こうした経緯もあり、当社基準の信頼性をしっかり確保できるまで、COROの販売は見合わせることとした。

 お客様にはできるだけ迷惑を掛けないよう、ファナック製の協働ロボットを代わりに無償で提供する。COROと入れ替えていただければ有り難いというお願いをしている。

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