10ギガビットイーサネット(10GbE)は、最初の規格の標準化完了から15年以上経過し、LANスイッチなどの対応製品の価格がかなり下がってきた。社内ネットワークへのギガビットイーサネット(GbE)の導入から約10年が過ぎ、10GbEへの更改を検討する企業が増えている。この連載では、10GbEの導入や運用のポイントなどを全3回で紹介する。

 第1回は、企業向けのイーサネット規格の概要や、10GbE導入の必要性などについて解説する。

急増する企業内トラフィック

 ITの進化により、昨今は1人のユーザーが扱うデータ量が増加している。遠隔地とのビデオ会議や高解像度写真・販促動画の共有など、コンテンツの大容量化やコミュニケーションツールの高機能化に伴い、社内ネットワークを流れるトラフィックは急増している。

 社内ネットワークの通信量の観点では、「縦の通信」と言われるWAN宛てのトラフィックだけでなく、拠点内だけでやりとりする「横の通信」のトラフィックも考慮する必要がある。横の通信の例として、拠点に置かれたサーバーやプリンターとの通信や、音声・ビデオ会議などがある。これらの通信でもデータが大容量化している。さらに企業の成長に伴い端末の台数が増えると、その分使用帯域が増えていく。

 例えば、ファイル転送を利用する端末の台数が増えることで、遅延に敏感な音声が影響を受けて、通話が途切れるなど業務に支障を来す。

 このような事象を防ぐため、音声のトラフィックを優先して流すQoSを利用する方法もあるが、根本的な解決にはより高速なイーサネット規格を導入し、帯域自体を広げるしかない。

拠点のスイッチに10GbEを導入

 10GbEを導入した企業ネットワークの一例を図1に示す。企業の拠点では、パソコンなどの端末を接続するアクセス部分はGbEを使うことが一般的だ。これらのトラフィックを集約するフロアスイッチやコアスイッチでは、より広い帯域が必要となる。

図1●10ギガ化が進む企業ネットワーク
企業のネットワークでは、トラフィックの増加に対応するため、10ギガビットイーサネット(10GbE)の採用が進んでいる。
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 帯域を広げるには、複数のGbEのポートを束ねて1本のポートとして運用するLAGを利用する方法もある。だが、ユーザー1人当たりのトラフィックが増加している今、10GbEを導入することで輻輳によるユーザーへの影響を最小限に抑える設計が望ましい。

 最近の無線LANアクセスポイント(AP)は、通信速度が1Gビット/秒以上のIEEE 802.11acに対応した製品が一般的になりつつある。このため、APを接続する箇所にGbEを使うと、有線部分がボトルネックになる恐れがある。APの接続に10GbEを使えば、ボトルネックを解消できる。最近では、GbEと10GbEの間の速度に当たる2.5ギガビットイーサネット(2.5GbE)や5ギガビットイーサネット(5GbE)に対応したAPやLANスイッチも登場しており、これらを導入するという選択肢もある。なお、2.5GbEと5GbEは合わせてマルチギガビットイーサネットとも呼ばれる。

▼QoS
Quality of Serviceの略。
▼LAG
Link AGgregationの略。イーサネットの複数のリンクを束ねて1本として運用し、帯域拡大や冗長化を実現する技術。
▼AP
Access Pointの略。

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