第2回は実際に10ギガビットイーサネット(10GbE)を企業に導入する際の設計ポイントについて解説する。

拠点内での光ファイバーの選定

 10GbE導入決定後、最初に確認すべきはLANスイッチの設置場所間のケーブル長である。これらはギガビットイーサネット(GbE)と同様に100m以下であれば安価なLANケーブルが利用可能であるが、長距離であれば光ファイバーケーブルを利用する必要がある(図1)。

図1●企業における10ギガイーサの配線例
フロアスイッチとコアスイッチの接続には、マルチモードファイバー(MMF)を使う10GBASE‐SRを採用する。別の建物など比較的距離が長い場合には、シングルモードファイバー(SMF)を使う10GBASE-LRを検討する必要がある。
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 既存配線として1000BASE‐SXで500m近く延ばしている場合、10GBASE‐SRの400mでは届かないため、間にLANスイッチを設置するか、10GBASE‐LRへの変更を検討する必要がある(表1)。10GBASE‐LRへ変更する場合は、併せて光ファイバーケーブルをMMFからSMFへ変更する必要があるため、費用や建物・ネットワーク設計の制約を加味したうえで判断する必要がある。

表1●光ファイバーケーブルのグレードと最大伝送距離
光ファイバーケーブルには、マルチモードファイバー(MMF)とシングルモードファイバー(SMF)の2種類がある。それぞれ品質(グレード)に応じて最大伝送距離が決まる。
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 なお、1000BASE‐SXを利用しており、光ファイバーケーブルがOM1という古い規格に準拠している場合は、現実的には流用できないため注意が必要である。OM1における1000BASE‐SXの最大伝送距離は275mと規定されているが、10GBASE‐SRではわずか33mであるからだ。

 製造業や学校・研究機関など広い敷地内に複数の建物を持つ場合、最大伝送距離が10kmの10GBASE‐LRや、40kmまで延長可能な10GBASE‐ERを用いることになる。これらは従来のOS1やOS2のケーブルを流用可能であるため、それらが敷設された環境なら工事は両端機器の置き換えだけで完了する。

LANケーブル導入のポイント

 LANケーブルを用いた際のポイントについても見ていこう。第1回に掲載した通り、LANケーブルも規格によって最大伝送距離が変化する。10GbE向けにはCat.6a以上を用いる必要がある。

 Cat.6aは出始めの頃、非常に硬く柔軟性に欠ける製品が多く出回っていたが、近年は改良が進み取り回しが容易な製品が多く出ているため、導入しやすくなった。しかしながら従来のCat.5eなどよりも太いケーブルが大半のため、建物内のケーブルスペースに余裕がない場合、別の経路を通すことや一部を光ファイバーケーブルに置き換えるなどの検討も必要となる。なお、Cat.6aのフラットケーブルや細身の製品が販売されているが、基本的に短距離向けのケーブルであり、筆者が調べた限りでは30m以上の製品は見かけないため、適用箇所に注意が必要である。

 もう1点注意しておきたいのがLANケーブルの距離である。安価であるためできるだけ使用したいという方針の下、100mを多少超えて配線している場合がある。GbEのLANケーブルに対する要求は100Mビット/秒のファストイーサネットとあまり変わらない水準であったが、10GbEは対応周波数だけでGbEの5倍を要求する非常に厳しい規格となっている。強いノイズ源の近くを通る場合、100m以内でも不安定となることがあるため、ノイズの影響を受けない光ファイバーケーブルやノイズに強いLANケーブルを選定する必要がある。

 これらの対策を取らない場合、不安定な環境ではリンク速度が1Gビット/秒に落ちるが、速度が低下するだけで通信は可能なため、気が付かないということが起こり得る。このような状況を防ぐために社内の敷設・設備状況などを再確認しておこう。

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