今回は、無線LANの新しいトレンドであるメッシュ型接続を取り上げる。研究室など限られた場所で活用されていたメッシュ型の無線LAN接続だが、最近は家庭向けのアクセスポイント(AP)製品でも対応するものが増え、広く使われるようになってきた。

複数のAPを網の目状に接続

 メッシュ型接続とは、複数のAPを網の目状で接続する形態の無線LANである(図1)。AP間は有線ではなく無線で接続する。電波が届きにくい箇所があれば、その近くにAPを設置するだけで快適に通信できるエリアを拡大できる。接続可能な端末の台数も増やせるため、無線LANを気軽に拡張できる技術として注目を集めている。

図1●無線LANの拡張性を高めるメッシュ型接続
複数のアクセスポイントを網の目状に接続することで、接続可能な端末の台数やエリアを拡張する。
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 メッシュ型接続の原点は、無線LANの登場当時から存在していたアドホック型接続である。アドホック型は、現在のインフラストラクチャー型のようにAPに端末が接続するのではなく、端末同士が1対1で直接接続する形態だ。だが、対応機器が高価かつ導入に専門知識が必要なことから利用は進まなかった。

 業界団体であるWi-Fiアライアンスは、2003年ごろからアドホック型をメッシュ型に拡張するための技術を検討し、2012年に「IEEE 802.11s」という標準規格を策定した。

 このIEEE 802.11sでは、PHY層にIEEE 802.11a/b/g/n/ac/axといった無線LAN通信を使い、メッシュに必要な機能はMAC層以上で実現するように設計されている(図2)。これにより、他の無線LANと同一環境で共存できる。

図2●メッシュ型接続の標準規格であるIEEE 802.11sのアーキテクチャー
他の無線LANとの共存を想定し、データを格納するフレーム構造などPHY層(物理層)は既存のものを使う。その上にメッシュ型接続に必要な機能を実装する。
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 一般にメッシュ型接続が注目されたのは2016年に米クアルコムが発表した「Wi-Fi SON」からだ。日本国内でも2018年以降にGoogle Wi-Fiや国産ベンダーの製品が次々と登場してきた。これらの製品はIEEE 802.11sの技術をベースにしているものの、相互運用性は保証していない。今回の記事では、IEEE 802.11sをベースにメッシュ型接続を解説しよう。

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