私たちの身の回りにはたくさんの通信端末がある。インターネットと通信している端末を筆者の自宅でざっと調べてみたところ、Wi-Fi(無線LAN)ルーター、TV、コンシューマーゲーム機、パソコン、スマートフォンなど、全部で20台は常に通信を行える状態だった(図1)。筆者の場合は趣味や仕事の関係で、普通の人よりは多くの端末やガジェットを使っている。ただ普通の人であっても、今は1人で多くの通信端末を使っているのが当たり前だろう。

図1●身近にある通信端末
パソコンやスマートフォンの通信では、物理的な回線としてイーサネットやWi-Fi(無線LAN)を使う。Bluetoothや超音波、赤外線、可視光を使う場合もある。さらにハードウエア内部ではいわゆる「シリアル通信」が利用されている。
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いたるところで多種多様な通信

 「通信」と一口に言っても様々な規格や技術が使われている(表1)。普段、私たちが多く触れているのはイーサネットやWi-Fiで、これらを使ってパソコンやスマートフォンをインターネットに接続している。

表1●身近な機器で使われる主な通信規格
今回の特集では、このうちのBluetoothやイーサネットなどを取り上げる。
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 さらにイーサネットやWi-Fiの上では、TCP/IPやHTTPなどのプロトコルが使われている。これらは企業でもよく利用されており、エンジニアが慣れ親しんでいるものだ。

 一方で、IoTガジェットや家電、パソコンやスマートフォンの周辺機器には別の無線通信技術が使われている。例えば、Bluetoothで音楽を聴いたり、赤外線通信を使うリモコンで家電を操作したりするといった用途だ。またSuicaなどの交通系ICカードやスマートフォンで電子決済を利用する際には、NFCなどの近距離無線通信が使われている。

 さらにハードウエアの内部でも通信は行われている。UART、I2C、JTAGなど、基板上で部品同士がシリアル通信で情報をやりとりしている。また、自動車の内部でも車載ネットワーク(CAN)で制御通信を実施している。

 このように私たちが意識をしなくても、通信は身の回りのあらゆるところで行われていて、機器同士が何かしらのデータをやりとりしているのだ。

 こうした身近な端末はどのように通信しているのだろうか。その仕組みを理解することは、実は通信技術を学ぶ近道でもある。そこでハードウエアの分解やパケットキャプチャーを駆使して、身近な端末における無線通信の仕組みを調べてみよう。

 Part1では米アップルのワイヤレスイヤホン「AirPods」を例に、Bluetoothの仕組みを見ていく。Part2では、米アマゾン・ドット・コムの「AWS IoT エンタープライズボタン」を例に、IoT機器の通信の仕組みを知る。Part3では、ネットワークインターフェースカード(NIC)を使ってイーサネットの仕組みや高速化技術を学ぶ。

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