データセンターでは今、最近登場した新しい技術の導入が始まっている。今回は、そうした新技術の中から、データセンター(DC)間接続、SDN、可視化に関するものを紹介しよう。

2種類のDC間接続

 多くの企業にとってデータセンターは重要な要素だ。最近はBCPやDRの観点から、パブリッククラウドの利用や複数のデータセンターの併用がトレンドとなっている。

 さらに複数のデータセンターを仮想化技術によって一つのデータセンターとして運用する「マルチ仮想データセンター」の需要が高まっている。ここで重要なのはデータセンターをつなぐ「データセンター間接続」(DCI)の技術である。

 データセンターをつなぐ接続回線としては、レイヤー1で物理的に接続する方法と、レイヤー2を仮想的に延伸してつなぐ方法の2種類がある(図1)。

図1 データセンター間を接続する技術の特徴
レイヤー1の物理回線を占有するタイプと、レイヤー2接続を仮想的に実現するタイプの2種類に分けられる。
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 前者は専用線と呼ばれる。ダークファイバーなどを利用して物理的に光ファイバーを引き込み、文字通り「専用」の回線を提供する。物理的に分離されているため、安全な回線を帯域制限なく利用できる。しかし、距離に比例した料金体系となっているため、長距離を接続する場合や、複数の拠点を接続する場合は非常に高額になる。予算の都合がつかず断念せざるを得ないケースもあり得る。また、回線の都合で提供されていないエリアもある。

 WDMを使えば、1本のダークファイバーに複数の回線を設けることができる。WDMは波長分割多重方式とも呼ばれ、分割したデータを異なる波長に載せることで、1本のファイバーで大容量通信を実現する。最近では波長変換部(トランスポンダー)を搭載可能なスイッチやインタフェースモジュールが登場しており、高価なWDM専用装置を使わずにWDMを導入する環境が整いつつある。

DC接続で導入が進むVXLAN

 データセンターでレイヤー2を延伸して接続する技術として、主にOTV、VPLS、VXLANなどが挙げられる。このうち、現在最も導入が進んでいる技術といえるのがVXLANである。

 VXLANはRFCとして標準化された技術。IPネットワーク上にレイヤー2のネットワークを構築する。イーサネットフレームをVXLANパケットでカプセル化し、それをIPパケットに載せて運ぶことで実現する。

 またVXLANはVLANの拡張技術と見ることもできる。VLANを区別する識別子のVLAN IDは12ビット長であるため、セグメントは最大4096個しか設けることができない。

 これに対し、VXLANのセグメントの識別子である「VNI」は24ビット長で、VLANを大幅に上回る約1600万個のセグメントを設けられる。このためデータセンターに収容できるテナント数に余裕ができるというメリットがある。ただし、VXLANのヘッダーなどでオーバーヘッドが生じるため、回線のMTUを調整できるかどうかの確認が必要だ。

SDNの最新技術「P4」

 続いてSDNの最新技術「P4」を紹介しよう。

 数年前よりSDNという言葉が広まり始めた。OpenFlowやホワイトボックススイッチといった、ネットワークの仕組みをオープンで柔軟性の高いものにしようという動きが、継続的に進められている。昨今この分野の新たな技術として注目されているのがP4だ。

 P4は、プログラム可能なASICやソフトウエアベースの仮想スイッチに対して、ネットワークのデータプレーン処理をプログラムするための言語である。

 ネットワークをプログラム可能にする取り組みとしてはOpenFlowがよく知られている。OpenFlowは既存のプロトコルをベースとし、そのプロトコルをどうプログラムに落とし込むかを定義している。これに対しP4は、プロトコルによらず、どんなテーブルを用意し、そこにマッチした場合にどんなアクションを取るか、また、到着したパケットをどう解釈するか、といった部分まで自由にデザインすることができる。

 具体的には、(1)パケットのヘッダーの定義、(2)パケットのヘッダーを分析するパーサーの定義、(3)テーブルに記録する内容の定義、(4)テーブルの値にヒットしたパケットに適用するアクションの定義─といったデータプレーン処理の基本を定義することが可能となっている(図2)。

図2 SDNを実現する最新技術「P4」のアーキテクチャー
SDNを実現する手法としてはOpenFlowなどが知られているが、最近は「P4」と呼ばれる技術が注目されている。P4自体はプログラム言語の一種。P4 に対応したネットワーク機器に対し、プロトコルの種類にかかわらず、テーブルの定義やそれにマッチしたときの処理などを自由に設定できる。
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P4が変えるネットワーク

 既にP4に対応したネットワークチップやNICがいくつかのベンダーからリリースされている。この技術がさらに広がると、ネットワークの今後にどのような影響を及ぼす可能性があるのか、いくつか展望を示したい。

 まずネットワークの可視性を向上することが挙げられる。例えば、スイッチを通過するパケットに対して、スイッチ自身がメタデータ(レイテンシーなどのスイッチ固有の情報)を付与し、分析装置にそのパケットのコピーを送信することで、パケットごとの経路の可視性を向上させる試みがある。

 もう一つは、ネットワーク機器で特定の機能だけを搭載できるようになることだ。既存のネットワーク機器は基本的に、ユーザー側で特定の機能だけを実装したり、削除したりすることは不可能だ。P4対応のネットワーク機器であれば、実装したい機能はユーザー自身で決められる。必要最小限の機能のみを実装することで、利用していない機能の不具合の影響を排除できる。

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