2019年3月29日から31日にかけて、携帯電話大手3社は2018年度のパケット接続料を公表した。パケット接続料は格安スマホに代表されるMVNO(仮想移動体通信事業者)がデータ通信サービスの提供に当たって携帯電話大手に支払う料金のこと。いわば「回線の仕入れ値」に相当する。

 今回、大手MVNOが採用しているレイヤー2接続のパケット接続料は、NTTドコモが前年度比5.0%減、KDDI(au)が同20.2%減、ソフトバンクが同21.6%減と、軒並み下がった(図1)。

図1●携帯電話大手3社のパケット接続料の推移
レイヤー2接続で10Mビット/秒当たりの月額を示した。2015年度適用分は2016年8月の改定後のもの。かっこ内は前年度比増減率で、▲はマイナス。
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 しかし、MVNOのインターネットイニシアティブ(IIJ)は、NTTドコモが接続料を値下げしたのにもかかわらず、2019年3月期の連結営業利益が10億円程度下がる可能性があると発表した。この背景には、接続料算定の複雑な仕組みがある。

暫定値による支払いが裏目に

 大手3社は設備にかかった費用をトラフィックで割ることでパケット接続料を算出している。分子に当たる設備投資は各社の戦略次第だが、最近では横ばいまたは微減の傾向だ。分母に当たるトラフィックは動画配信の普及などで拡大の傾向にある。パケット接続料はこれまで一貫して下がり続けてきた。

 接続料の実績は把握するのに時間がかかるため、2年前の実績に基づいて算出、精算している。トラフィックの拡大で接続料が下がり続けているときは、MVNOが過大な負担を強いられる恐れがある。このため、総務省は2014年3月のガイドライン改定により、過去の増減トレンドを踏まえた暫定値での精算も可能とした。NTTドコモは2018年度のパケット接続料の支払いについて、15%減の暫定値をMVNOに提示していたもようである。

 ところが蓋を開けてみれば、2017年度実績の接続料は前年度比5.0%減だった。暫定値による支払いとするかはMVNO次第だが、15%減で支払っていたMVNOは差分の10%分をNTTドコモに追加で支払う必要がある。IIJは低減率が15%を下回る可能性も想定して保守的に費用を計上していたもようだが、その水準までも下回った。

将来原価方式で問題解消へ

 折しも総務省は2019年3月、有識者会議「モバイル市場の競争環境に関する研究会」で接続料算定の適正性・透明性の向上を図る方針を固めた。接続料水準や算定根拠に対する不満や疑問がMVNOの間で根強いため、今回の接続料から算定根拠を審議会に報告し、可能な範囲で公表するとした。今後、大手3社からどのような根拠が示されるかが注目となる。

 さらに総務省は、2019年度末に届け出されるパケット接続料から「将来原価方式」を採用する。これは設備費用やトラフィックの将来予測に基づいて単年度または複数年度の接続料を算定する方式。前々年度実績に基づいた現状の実績原価方式に比べ、MVNOにおける接続料の予見性が高まり、過大な費用負担も無くなる見通しだ。

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