ネット君 あー、ウチの大学のホームページにアクセスしたら、「保護されていない」とか言われてますよ?
インター博士 まだHTTPS▼に対応していないからな。HTTPS非対応のWebサイトにアクセスすると、Google Chromeではそう表示されるんだよ。
ネット君 はー、セキュリティーですねぇ…。そもそも、HTTPSって何をするのか知らないや。
Webサービスを実現するためのプロトコルとして、HTTP▼が長年にわたって使われている。HTTPを使ったWebサービスはREST▼に基づいたアーキテクチャーで優れたシステムではあるものの、主にセキュリティー面で問題がある。
1つ目は、データを暗号化する仕組みがないこと(図1)。送受信するデータは暗号化されていない状態、つまり平文でネットワークを流れるため、盗聴される危険性がある。個人情報やクレジットカード情報など、重要なデータを送受信する際に大きな問題となる。
2つ目は、通信相手を認証しないことである(図2)。認証には、サーバーを認証するサーバー認証と、クライアントを認証するクライアント認証の2種類がある。
HTTPを使ったWebサービスではサーバーを認証しないために、偽のWebサーバーに誘導されて、個人情報を盗まれる危険性がある。いわゆるフィッシング詐欺である。
また、クライアントも認証しないので、Webサーバー側でも通信相手を確認できない。
HTTPを使うことの問題の3つ目は、改ざんを検出する機能がないこと(図3)。データが送られている途中で改ざんされても分からない。
ネット君 ははぁ、結構な問題ですね。何というか、HTTPは無防備に近いんじゃないんですか?
インター博士 まぁ、昔のプロトコルは大体が無防備だがな。ともかく、HTTPのセキュリティーを強化するために生まれたのが、TLS▼を組み込んだHTTPSだ。
ネットスケープが開発
TLSの前身であるSSL▼は、米ネットスケープコミュニケーションズ▼が開発したトランスポート層のセキュリティープロトコルである。SSLは業界標準になって様々な製品に組み込まれたものの、IETF▼が定めたインターネット標準にはなっていない。SSLの最終バージョンはSSL 3.0。
その後、SSL 3.0をベースに開発されたのがTLSである。TLS 1.0は、1996年11月からIETFが標準化作業を開始。1999年1月に標準化された▼。その後、SSLにはセキュリティーの問題が見つかったため、使用が禁止された▼。
TLSは大きく2つのプロトコルから成り立っている。1つは認証や暗号化のためのネゴシエーションを行うハンドシェークプロトコル。もう1つは、実際にメッセージをやりとりするレコードプロトコルである(次ページの図4)。
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