この連載は、報道目的の実験を行い、その結果を掲載するものです。内容には十分注意をしていますが、記事内容を試すことは自己責任で行ってください。

 ここは、ネットワーク関連企業「BPネットワークス」が誇る本社の超高層タワービル…の地下3階、機械室の隣にある第二R&Dセンターである。朝届いた新聞をじっくりと読んでいた片岡さんがつぶやいた。

片岡:AIスピーカー機能内蔵のIoTスマート家電の新製品か。

矢田:「声」で操作できるの?

片岡:そう、音声でいろいろと操作する家電だな。

神崎:国内でもAIスピーカーが普及してきましたね。

 そこへ、吉田さんが何やら小箱を抱えてやってきた。

吉田:はーい、みなさん。

神崎:あっ、それは!もしかして今回の実験はAIスピーカー?

吉田:その通り。AIスピーカーって便利だけど、プライバシーやセキュリティはどうなっているのかな、という心配が出てきて。

片岡:それはそうだな。常に音を拾えるマイクを自分の周りに置いておくわけだし。中には、聞かれたくない音もあるだろうな。

矢田:確かに怖い気がするわ。

吉田:そこで、今回のセンター長からの依頼は「AIスピーカーで重要な会話が外部に漏れないか調査せよ!」よ。3種類のAIスピーカーがあるから、外部にどんな情報を送っているかを調査してね(図1)。

図1●AIスピーカーは外部にどんな情報を送ってる?
最近ブームのAIスピーカーでは、利用者の言葉を聞き取ってインターネットで情報を調べたり、音楽やラジオを聞いたりできる。IoT家電を操作することも可能だ。使い慣れると便利な存在だが、会話などが外部に漏れることはないのだろうか?
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矢田:これは、「Amazon Echo Dot」と「Google Home Mini」ね。もう一つは何かな?

片岡:なんだ。これはRaspberry Piじゃないか。

吉田:一つはRaspberry Piベースの自作AIスピーカーよ。資料も用意してきたから、お願いね。

 吉田さんは、いつものように用件を言うと帰っていった。

矢田:AIスピーカーってクラウドと連携して動作するのよね。

神崎:ええ。音声認識や自然言語分析、音声合成といった核となる部分は、すべてクラウド側で処理しています。そこでAI技術が使われているはずです(図2)。

図2●AIスピーカーは音声データをクラウドで処理する
スピーカー本体にはAIの機能は搭載していない。マイクで拾った音のデータをクラウドにそのまま転送し、そのデータから音声の内容を解析して命令を認識する。そして、命令に対応した適切な応答やアクションをAIスピーカーに戻す。
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片岡:そうなると、マイクで拾った音のデータを上りトラフィックでクラウドに送信したり、クラウドで合成した応答の音声データを下りトラフィックで受信したりしているはずだな。

矢田:もしかして、周りで聞こえる音を、AIスピーカーは常にクラウドへ送っているのかな。そうすると、すべての会話がクラウドのAIサービスに筒抜けのような…。

神崎:プライバシーがダダ漏れ?

片岡:それだけじゃない。その通信を第三者に盗聴されちゃう危険もあるぞ。

神崎:音のデータなので、文字通り「盗聴」のための装置をわざわざ自分で設置していることになってしまいますね。

矢田:う~ん、何だか怖い。AIスピーカーって大丈夫なの?

神崎:とにかく、やり取りしているパケットを調べれば、何かわかりそうですね。

片岡:では、Wiresharkでパケットをキャプチャーできる環境を用意しよう(図3)。まずは、AIスピーカーのセットアップだな。

図2●AIスピーカーは音声データをクラウドで処理する
スピーカー本体にはAIの機能は搭載していない。マイクで拾った音のデータをクラウドにそのまま転送し、そのデータから音声の内容を解析して命令を認識する。そして、命令に対応した適切な応答やアクションをAIスピーカーに戻す。
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神崎:Google Home Miniは、グーグルのアカウントがあれば、すぐに設定できそうです。試しに、僕のアカウントで設定しますね。

片岡:Amazon Echo Dotはアマゾンのアカウントが必要なのか。じゃあ、俺のアカウントを使おう。残るは自作AIスピーカーか。

矢田:こちらはいま資料を読んでいるところです。

▼AI
Artificial Intelligenceの略。日本語では人工知能。
▼IoT
Internet of Thingsの略。

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