この連載は、報道目的の実験を行い、その結果を掲載するものです。内容には十分注意をしていますが、記事内容を試すことは自己責任で行ってください。

 ここは、ネットワーク関連企業「BPネットワークス」が誇る本社の超高層タワービル…の地下3階、機械室の隣にある第二R&Dセンターである。3人衆は人工知能(AI)に関する専門誌の記事を読んでいる。

矢田:AI技術で都市の交通を最適に制御する取り組みか。進んでいるわね。

神崎:中国の話ですよね。AIを使って渋滞を高い精度で予測し、交通信号を制御して交通渋滞の解消を図るとか。

矢田::渋滞が解消するんなら確かにいいことなんだろうけど。でも、信号の制御をAIに任せて大丈夫なのかな。

片岡:確かに不安はあるな。SF映画では、AIの暴走や人類への反逆が昔から定番のテーマだ。主人公が命をかけてコンピューターを止めるなんて、よくあるストーリーだな。

矢田:SFが現実になるのでは、と考えたらぞっとするわ。

 と盛り上がっているところへ、いつものように吉田さんが登場してきた。

吉田:はーい、みなさん。何の話をしているの?

矢田:AIが活躍する未来はどうなるのか、という話を…。

吉田:そう。盛り上がっているところ悪いけどお仕事ね。今回のセンター長からの依頼は、「LANケーブルの切り替え器や切断器を調査せよ!」よ。

神崎:LANケーブルの切り替え器や切断器って何ですか?

片岡:簡単に言うと、LANの通信回線を物理的に切り替えたり、切断したりするスイッチのことだな。

矢田:そういう製品って昔からあるみたいだけど、どんな目的で使われているのかしら?ソフトウエアでネットワークを制御するSDNが当たり前になりつつあるのに時代遅れな感じがするわ。

吉田:セキュリティーの問題や障害が発生したときに素早くかつ確実に対策したり、こまめに節電したりしたいときに利用することが多いわね。

神崎:でも、インターネットにつながるのが当たり前の時代に、物理的に通信を切り替えたり切断したりするって、逆になんかすごいですね。

吉田:物理的に回線の切断や切り替えをする方法は確かに古くさく感じるけど、ウイルスの侵入といったセキュリティー上のインシデントが発生したときの出口対策としては相変わらず有効ね。

矢田:そうなんだ…。

片岡:それで、切断器や切り替え器の何を調査するんだ?

吉田:今回の相談があったF社では、使わない機器の回線接続断やウイルス感染時の通信切断などの目的で、ネットワークの要所要所に切断器や切り替え器を設置しているの(図1)。例えば、会議室の無線LANアクセスポイントは、会議や来客のときにのみ使用するように運用していて、それ以外のときにはセキュリティーの確保と省エネの目的で切断器を使ってLANから切り離しているの。

図1●F社の社内ネットワークではLANの切り替え器や切断器を利用している
切り替え器は、トラブル発生時などに回線を切り替えるときに使う。切断器は、通信を遮断するために使う。F社の無線LANアクセスポイントは、会議や来客のときだけ切断器を使ってLANにつなぐようにしている。
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図2●実験1の内容
レイヤー2スイッチとPoE対応機器の間に切断器や切り替え器をつなげて、LANのリンク状態やPoEによる給電状態をチェックする。切り替え器は2種類のPoE対応機器を同時につなぎ、切り替えながらチェックした。
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片岡:PoEなら、切断器を使うことで回線だけでなく電源も一緒にオフにできるな。

吉田:そう思うでしょ。それが、切断器で切り離しても、なぜかアクセスポイントのランプがつきっぱなしという不可解な現象が発生しているらしいの。

神崎:電源が切れないんですか?

吉田:よく分からないけど、「リンクがつながっていないはずなのに、つながっているように見える」と言っているわ。

片岡:何だそれ?

神崎:確かに不可解ですね。

吉田:それで、どうなっているのかを調べてほしいと依頼があったのよ。

片岡:本当に不可解な現象なら調べようがないぞ。

吉田:とにかく、F社で使っているものと同じ切断器と切り替え器、それとPoE給電対応のレイヤー2(L2)スイッチを用意してきたから実験してみて。お願いね。不可解な現象については、私も調べてみるから…。

▼SDN
Software Defi ned Networkの略。
▼出口対策
機密情報の外部への漏洩を目的とするウイルスもある。その場合、情報漏洩の危険性を最小限にするためにも、物理的に回線を切断するのが有効だ。
▼PoE
Power over Ethernetの略。

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