埼玉県のある診療所で、インターネット接続が不安定になるトラブルが発生した。ネットワーク機器の熱暴走や構内にある光ファイバーの不具合などを疑って対策を施したが、問題は一向に解決しなかった。

 インターネット接続が不安定になるトラブルは多い。その原因は様々だ。機器や回線に問題がある場合もあれば、設定が不適切な場合もある。トラブルを解決するには、原因になっている可能性がある箇所を一つひとつ地道に確認しなければならない。

 様々な原因を疑って対処していっても、一向にトラブルが解決しないこともある。特に、通信事業者が提供する回線に物理的なトラブルがあった場合は、その原因に行き着くまでが大変だ。今回紹介するのはそんなトラブルである。

友人からクリニックを紹介される

 トラブルの解決に当たったのは、テックデザインの代表取締役を務める河野 哲治さん。同社は、小規模な医療機関である診療所(クリニック)に特化してネットワークの構築や保守管理を手掛ける、河野さん1人だけの会社だ。

 同社が所属する企業グループで約5年前に事業整理が行われ、そのときに河野さんがテックデザインの代表取締役に就任した。

 同社は当初、大阪府にある大規模な医療機関のシステム管理やネットワーク管理を担当していた。そのノウハウを生かし、2~3年前にクリニックのネットワークを構築/運用管理する事業を始めた。

 医療機関に特化している強みを出すため、河野さんは医療情報技師という民間資格を取得している。試験で医療や医療情報システムの知識を問われる資格だ。

 トラブルの舞台になったのは、埼玉県にあるクリニックである(ここではクリニックAとする)。クリニックAではメールや診療予約にインターネットを利用しているが、その接続が断続的に切れたりつながったりしていた。

 困った同クリニックの院長は、オンラインの診療予約システムを提供している会社の社長に「何とかならないか」と相談した。その社長も、ネットワークに詳しいわけではない。そこで、社長の友人である河野さんにトラブルシューティングの依頼が舞い込んだ。

 クリニックAのネットワークは大きく3つの部分に分かれている。パソコンでインターネットに接続してメールや診療予約を確認する部分、電子カルテシステム、PACS(Picture Archiving and Communication Systems、医療用画像管理システム)である。

トラブル発生時のクリニックAのネットワーク構成
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 電子カルテシステムやPACSは、基本的にはインターネットに接続していない。1カ月に1回だけ、電子カルテシステムの電子カルテサーバーが、外部にある社会保険診療報酬支払基金のシステムに、オンデマンドのインターネットVPN(Virtual Private Network)を使って接続する。

電子カルテシステムは月に1回、VPNで外部と通信
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 その際には、通常のインターネット接続で使っているプロバイダーとは別のプロバイダーを使っている。

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