2017年から「Maisart(マイサート)」ブランドでAI技術をさまざまな領域で展開している三菱電機。中でも多いのが製造業向けで、これまでも設備異常の予兆検知や産業用ロボット用の機能拡張、生産ラインの作業分析など、AIを活用したさまざまな技術・ソリューションを発表してきた(別掲記事参照)。

 生産設備の制御への活用も始めている。それがファイバーレーザー加工への適用だ。2019年4月に発売した新製品「GX-F」シリーズには、AIが加工条件を自動調整する「AIアシスト機能」を標準搭載した(図1)。Maisartを特徴づけるコンセプトの1つである「アルゴリズムのコンパクト化」を生かし、高速な判断が求められる生産設備でのAI活用を実現した。

図1 三菱電機のファイバーレーザー加工機「GX-F」
加工中に加工の良否をリアルタイムで判定し、ノズル交換や加工条件の調整を行う「AIアシスト機能」を搭載した。(写真:三菱電機)
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ドメイン知識生かしてAIモデル構築

 同機能は、加工不良が発生しそうだとAIが判断すると、加工ノズルを変更したり加工条件を調整したりして不良発生を事前に防ぎ、連続運転を実現するためのもの。同社の情報技術総合研究所と共同で開発した。「世界で初めてレーザー加工機の加工条件を自動調整する機能を搭載した。連続自動運転の加工安定性が向上する」(名古屋製作所レーザー製造部長の黒澤満樹氏)と期待をかける。

 AIアシスト機能は、加工中の光と音をセンシングして加工状態の変化をとらえ、学習済みのAIがノズルの交換や、加工速度、レーザー出力などの加工条件の微調整を行うもの。「当社には、レーザー加工に関する豊富なドメイン知識がある。これを生かしてAIアシスト機能を実現した」(黒澤氏)。

 ドメイン知識とは、ある特定の領域に特化した専門的な知識のこと。同社には、どういう光や音の状態になったら加工不良が起こりがちかという知見やノウハウがある。例えば、加工中の音が高くなる、ワーク下面の光量が減るといった状況になれば加工不良が発生している可能性が高い。

 AIアシスト機能の実現に当たっては、同社が有するレーザー加工に関するドメイン知識に基づいて光量や音量、加工条件、加工の良否といった情報を学習データとして深層学習させ、光と音から加工の正常度を判断するAIの学習モデルを構築した。AIアシスト機能の搭載に当たっては、専用にCPUボードを新たに追加しているという。

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