現在、全世界で100社近くあると言われている宇宙ベンチャー。その「群れ」から抜け出し、国際的な小型ロケット打ち上げという市場を切り開いて、そのリーダーとしての地位に立ったのが米国に本拠を置くロケットラボだ。同社をリーダーたらしめたのは、世界初の小型衛星打ち上げ専用の小型ロケット「エレクトロン」だ(図1)。

図1 打ち上げられるエレクトロン
エレクトロンは直径1.2m、全長17m、打ち上げ重量12.5tの2段式ロケット。炭素繊維強化樹脂(CFRP)製の機体構造を採用して軽量化。電動ポンプを使ってガス配管をなくすなど、機体の信頼性を高めている。(出所:Rocket Lab)
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小型衛星打ち上げ専用のエレクトロン

 エレクトロンは最新テクノロジーを集めて開発しており、炭素繊維強化樹脂(CFRP)製の機体構造を採用して軽量化。電動ポンプを使ってガス配管をなくすなど、機体の信頼性を高めている。

 スペースXやブルーオリジンとは異なり、機体の回収・再利用によるコスト削減を意図していないのも特徴だ。その代わり、小型衛星専用という特徴を生かしてニーズをつかみ、量産化による部品製造などでコスト削減を進める考えだ。スペースXらとは違う領域で、宇宙ビジネスの展開を図っている。

 ロケットラボは2006年に、米カリフォルニア州で立ち上げられたベンチャー企業だ。2013年1月に新しい液体酸素とケロシンを推進剤とする液体ロケットエンジン「ラザフォード」*1を開発していると公表。翌2014年7月に、そのラザフォードを用いた小型衛星打ち上げ専用のロケットの開発を表明した。これがエレクトロンだ。

*1 ラザフォードという名称は、ニュージーランド出身で「原子物理学の父」と称される物理学者アーネスト・ラザフォード(1871~1937)にちなんだものだ。

 エレクトロンは直径1.2m、全長17m、打ち上げ重量12.5tの2段式ロケットだ(図2)。高度500kmの太陽同期軌道*2に150kgのペイロードを打ち上げる能力を持つ。第1段はラザフォードエンジンを9基、第2段は真空対応のための大型ノズルを装着した同エンジンを1基、それぞれ装着している。1機の打ち上げ価格は490万ドル、ほぼ5億円を提示している。

図2 射点立ち上げ作業前のエレクトロン
エレクトロンの構造はスペースXのロケット、ファルコン9と似ている点が多い。水平状態でロケットを組み上げて、射点で垂直に立てる運用方式もファルコン9と同じだ。(出所:Rocket Lab)
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*2 太陽同期軌道 地球を南北に回り、直下の地方時が一定時刻になる軌道。

 エレクトロンの初号機が打ち上げられたのは2017年5月25日。打ち上げは失敗に終わったが、ここからロケットラボの活動が本格的にスタートする。その後、2018年1月21日にはエレクトロン2号機の打ち上げに成功。同年11月11日には、初の商業打ち上げとなる3号機を打ち上げた*3

*3 エレクトロンはその後、6号機までの打ち上げに成功している(2019年5月時点)。ロケットラボは2019年中に、あと14機のエレクトロンを打ち上げる計画を打ち出している。

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