隠れた実力を持つ中小のものづくり企業の生産現場を訪れる本連載。第2回は、インサート成形や多色成形などの難易度の高い樹脂成形用金型や、精密プレス金型の設計・製造を手掛けるセントラルファインツール(本社岐阜県恵那市)を訪ねた。

■ 企業概要
セントラルファインツール
設立1982年9月
従業員数40人
事業内容射出成形や精密ブレス用金型の設計・製作、樹脂部品の生産など
資本金5000万円

 「複合化による付加価値の創造が、金型業界における今後の競争力の源泉になります」。こう語るのはセントラルファインツール(以下CFT)代表取締役社長の三宅和彦氏だ。1982年設立の同社は、従業員数約40人の金型専門メーカー(図1)。小規模にもかかわらず、中国・上海にも金型の設計専門部隊を抱えるなど、海外にも活動拠点を広げている。

図1 セントラルファインツール(CFT)本社
岐阜県恵那市を拠点とする。道を挟んだ向かい側(写真手前)に第二工場・第三工場がある。(出所:CFT)
[画像のクリックで拡大表示]

 同社の強みは、エンジニアリングプラスチック(エンプラ)用金型である。エンプラは強度や耐熱性に優れるものの、成形条件や成形温度の調整が難しく、金型の腐食も早いという金型屋泣かせの材料である。しかし、同社はそうした難易度の高い金型の製作や樹脂部品の成形で技術を磨き、実績を積み上げてきた。

複合化技術で金型の付加価値高める

 CFTはエンプラ用金型の中でも、特に2色成形やインサート成形用といった特殊な金型を得意とする。

 2色成形は、その名の通り2種類の樹脂を使って成形する技術。基本金型で1つ目の樹脂材料を射出成形し、キャビティーを交換してできた1次成形品とキャビティーとの隙間に別の樹脂を流し込むなどして、2色2層の成形品を造る多工程成形技術である(図2)。

図2 2色成形のサンプル
写真手前のつまみ部にある3角形の方向表示は白色の軸部と同一の材料。2色の異なる樹脂を一体成形している。(出所:CFT)
[画像のクリックで拡大表示]

 金型の工夫によって3色成形や4色成形へと応用できる。多色成形が難しいのは、複数の金型を組み合わせるので高い寸法精度が求められる上に、物性の異なる樹脂について成形後の収縮量の差を考慮して金型を設計しなくてはならないから。こうした設計ノウハウこそが同社の強みとなっている。

 もう1つの得意分野であるインサート成形は、金属部品などをあらかじめ金型内にセットして樹脂を射出する技術。これも2色成形と同様に難しい技術で、歩留まり良く高速に成形するにはノウハウが必要だ。同社は、金属板金部品用の精密プレス金型の製作も手掛けるので、インサート部品のプレス成形を組み合わせたプレスから成形までの一貫生産によって生産性を高めているという(図3)。

図3 インサート成形のサンプル
金属のコネクタや端子などを樹脂と一体成形している。組み立てではできない形状や強度を実現できる。(出所:CFT)
[画像のクリックで拡大表示]

 さらにCFTの技術の極みとも言えるのが「アセンブル成形」。通常、樹脂部品のアセンブルというと別々に成形した樹脂部品を人が組み立てる。これに対してアセンブル成形は、人手を介さずに金型の内部で複数部品の組み立てを完結させる技術だ(図4)。

図4 アセンブル成形のサンプル
金型のキャビティー・コアの移動と樹脂の射出を繰り返し、金型内で可動部品を組み上げた状態で成形する。手作業なしでアセンブリ部品が完成する。(出所:CFT)
[画像のクリックで拡大表示]

 アセンブル成形の金型は、部品を成形する複数のキャビティーと「搬送ステーション」と呼ぶ成形品を輸送する回転テーブル、スライドコア、アクチュエーターなどから成る。キャビティーで成形した各部品を順番に搬送ステーションに送り込んで組み付ける。金型構造や成形工程は複雑で、最後に成形機から図4のような完成品がいきなり出て来るのは驚きである。「頭の中で部品のイメージを足し合わせて考案した」(三宅氏)という。

この先は有料会員の登録が必要です。「日経ものづくり」定期購読者もログインしてお読みいただけます。今なら有料会員(月額プラン)が2020年1月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら