これまで説明してきたように、鉄鋼材料(鋼)は大きく炭素鋼と合金鋼に分類できます。前回(2019年10月号)は炭素鋼について紹介しましたので、今回は合金鋼について解説します。

 合金鋼は炭素鋼にクロム(Cr)やニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、コバルト(Co)といった成分を添加したものです。これによって引張強さや耐摩耗性、焼入れ性、耐熱性などが炭素鋼よりも高くなります()。

図 合金鋼に使われる元素の主な役割
合金鋼には、クロム(Cr)やニッケル(Ni)などが添加されている。添加されている元素によって、焼入れ性や耐食性、耐熱性などが向上する。(出所:西村仁)
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 ただし、添加する成分のコストや製造プロセスが増えるので、炭素鋼に比べて高価です。その上、形状や寸法のバリエーションは、炭素鋼と比べて格段に少なくなるため、加工コストも高くなりがちです。

 高価で、形状や寸法のバリエーションが少ないなど使用条件が厳しいので、「炭素鋼では設計上の目的を果たせない場合」、つまり「合金鋼を使う効果がコストに見合う時」にのみ使います。

 合金鋼には、さびにくく汚れにくい「ステンレス鋼」、硬くて耐摩耗性・耐熱性に優れる「高速度工具鋼」、引張強さが高くて頑丈な「高張力鋼(ハイテン鋼)」などがあります(表1)。今回はまず、身近に使用されているステンレス鋼について説明します。

表1 合金鋼の種類と特徴
(出所:西村仁)
鋼種 特徴
ステンレス鋼(SUS材) 耐食性(さびに強い)
合金工具鋼鋼材(SKS材、SKD材、SKT材)、高速度工具鋼鋼材(SKH材) 耐摩耗性、耐熱性
機械構造用合金鋼鋼材(SCr材、SCM材、SNC材、SNCM材) 強度の向上、焼入れ性向上
高張力鋼(ハイテン鋼) 圧倒的な引張強さ
その他の合金鋼(ばね鋼、SUJ材) 広い弾性範囲や耐摩耗性

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