ものづくりに関わる技術者に必要な材料の知識として、前回(2019年9月号)は鉄鋼材料の特徴について解説しました。鉄鋼材料は大きく、炭素含有量が0~0.02%の「純鉄」、0.02~2.1%の「鋼」、2.1~6.7%の「鋳鉄」に分類できます。そのうち鋼は、鉄と5大元素(炭素、シリコン、マンガン、リン、硫黄)から成る「炭素鋼」と、炭素鋼にクロムやニッケルなどを添加した「合金鋼」にも分けられます。今回は鉄鋼材料の中で最も一般的な汎用材である炭素鋼について説明します。

材料商社が短納期に対応

 まず、炭素鋼の特徴について簡単に紹介しておきましょう。炭素鋼は、合金鋼のように5大元素以外の元素を添加する必要がないため、製造工程が少なくて安価です。また、ほとんどの材料商社で取り扱っており、即日配達や翌日配達といった短納期に対応してもらえるのも大きなメリットです。

 炭素鋼は合金鋼に比べて品ぞろえも豊富です。断面が丸形や角形、L字形、C字形、H字形といったように、さまざまな形状の商品が用意されています。さらに、寸法のバリエーションも多彩です。多種多様な形状と寸法の商品があるので、設計に合った材料を探し出しやすくなり、商品に合わせて設計する方法も採用できます。入手できる商品の寸法に合わせて機械などの外形を設計しておけば、加工の工数を減らせ、材料のムダもありません。加工費と材料費を削減できるコストメリット、そして加工時間の短縮も狙えます。

主要な炭素鋼は4種類

 JIS(日本産業規格*1)では、主要な炭素鋼として4種類が規格化されています(図1)。具体的にはSPC(Steel Plate Cold)材、SS(Steel Structure)材、S-C(Steel-Carbon)材、SK(Steel Kougu)材です。SPC材は「冷間圧延鋼板」、SS材は「一般構造用圧延鋼材」、S-C材は「機械構造用炭素鋼鋼材」、SK材は「炭素工具鋼鋼材」とも呼ばれます。

*1 2019年7月の法改正で「日本工業規格」は「日本産業規格」に改称した。
図1  主な炭素鋼
SPC材、SS材、S-C材、SK材はそれぞれ炭素含有量が異なるため硬さや溶接性などに違いがあり、用途や商品のバリエーションにも差がある。(出所:西村仁)
[画像のクリックで拡大表示]

 ざっくり言うと、SPC材は炭素含有量が0.1%以下で、炭素鋼の中で最も軟らかい材料です。一般に板材だけの取り扱いになります。SS材は炭素含有量が0.1~0.3%、S-C材は0.1~0.6%と、適度な硬さを持つ材料です。市場ニーズも高いため、板材だけでなくさまざまな断面の棒材(丸棒や四角棒、六角棒など)もあります。SK材は0.6~1.5%と炭素鋼の中では炭素量が多く、硬くて加工しにくい材料です。市販品の形状のバリエーションはSS材とS-C材に比べると少なく、主に板材(平鋼)と棒材(丸棒)になります。

この先は有料会員の登録が必要です。「日経ものづくり」定期購読者もログインしてお読みいただけます。今なら有料会員(月額プラン)が2020年1月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら