ものづくりに関わる技術者に必要な材料の知識として、前回(2019年8月号)までは「機械的性質」や「物理的性質」、「化学的性質」といった材料に共通する「性質」について解説してきました。今回からは具体的な材料を取り上げて、それらの特徴について解説します。

 材料は大きく「金属材料」と「非金属材料」に分けられます(図1)。鉄やアルミニウム、銅などが「金属材料」、セラミックやプラスチックなどが「非金属材料」です。

図1 材料の分類
材料は、鉄やアルミニウム、銅などの「金属材料」とセラミックやプラスチックなどの「非金属材料」に分けられる。このほか、形状記憶合金や超電導材のように特別な機能を持たせた材料や、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のように2種以上の異なる材料を組み合わせた複合材などを「特殊材料」と呼ぶこともある。(出所:西村仁)
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 また、形状記憶合金や超電導材のように特別な機能を持たせた材料や、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のように2種以上の異なる材料を組み合わせた複合材などを「特殊材料」と呼ぶこともあります。

 本連載ではまず、機械の構造材として現在、最も多く使われている「金属材料」から説明します。金属の代表となる材料が「鉄」です。

 鉄は、あらゆる産業、あらゆる製品で使われています*1。例えば、生産設備に用いられている金属の約90%が鉄だと言われています。鉄を主成分とする材料(以下、鉄鋼材料)の使用量は、「粗鋼」*2の生産量からイメージできます。日本鉄鋼連盟の調査によると、日本で1年間に生産される粗鋼は約1億tにもなります。

*1 日本鉄鋼連盟の調査(2019年5月時点)によると、鉄の使用量が多い産業のトップ3は建設、自動車、造船となっている。
*2 粗鋼
製鋼炉で造られた直後の、圧延加工などを施す前の鋼。鉄鋼材料の生産高を示す指標として使われる。

 なぜこんなに鉄が使われているのでしょうか。それは鉄が地球上に「資源として豊富」にあり、「製造・加工が容易」で、「リサイクルしやすい」からです。鉄は地球の質量の3分の1を占めるというのが定説です。また、原料の鉄鉱石から鉄鋼材料を効率よく取り出せるため、比較的安価に供給できます。鉄鋼材料は、鉄に添加する成分の比率を調整したり、熱処理や加工の方法を工夫したりすれば、さまざまな性質を持たせられる利点もあります。

 リサイクルに関しては、市場に製品として出回った鉄鋼材料を回収して溶かし、再び固めて利用するプロセスが社会で確立しています。日本鉄リサイクル工業会の調査によると、1年間にリサイクルされる市中鉄スクラップは約2500万tにもなります。

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