日本人設計者が中国メーカーと一緒にものづくりをすると、不良品発生などのトラブルが起きてしまうことがあります。しかし、その本当の原因は中国に無理解な日本人設計者にあるかもしれません。この連載では、駐在の4年半を含めた7年間、中国でのものづくりに関わった私が失敗経験を紹介しつつ、その理由を分かりやすく解き明かします。

 今回は、私が実際に中国の部品メーカーを訪ねて見た製造現場の状況と、そこで発生した問題、そしてその問題への対策を紹介します。

不良が発生しがちな3つの問題点

 在職時代、私はかなり多数の中国の部品メーカーを訪問しています。自分が担当する部品の量産前試作(金型トライ)や量産開始といったタイミングはもちろん、量産が開始された後で部品に問題が発生したときなどに、ほぼ1日中、部品メーカーの製造ラインにいたこともあります。こうした経験から、不良品が発生しがちな製造現場には3種類の問題点(パターン)があると、私は思うようになりました(図1)。

図1 不良が発生しがちな製造現場のパターン
(イラスト:PIXTA)
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 最初のパターンが、モノを大事にしていない製造現場です。日本流に「5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)が徹底されていない」と言い換えてもよいかもしれません。こうした工場は取引先への配慮、働いている人に対する思いやりに欠けています。実はこのケースが最も厄介で、対応が難しいパターンでした。

 第2のパターンが、作業者の勝手な判断によって作業手順を変えてしまっている製造現場です。現場の作業者自身は良かれと思っている場合もありますが、結果的には品質に悪影響を与えてしまう結果を招きがちです。「改善」のつもりが「改悪」になってしまうわけです。この背景には、手順が決められた理由に対する理解不足があります。ただし単に「理解しろ」というだけでは解決にはつながりません。

 そして第3のパターンが、作業者のモチベーション(意識)の低さに起因した問題です。日本の製造現場のようにモチベーションが高い作業者ばかりだと、いつの間にか、その「モチベーションの高さ」があるからこその品質になっています。作業者1人ひとりの注意力や丁寧さを前提とできない製造現場もあると、中国では痛感しました。

 以下で、それぞれの具体例と対応策を紹介しましょう。もちろん、こうした中国の部品メーカーは全体の一部ですが、現実問題として出会う可能性はそんなに小さくないというのが私の感触です。

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