若手技術者・技能者の育成が急務となる中、暗黙知の形式知化や教育を支援するITツールが増えてきた。特に注目を集めているのが、Part1でも述べた遠隔作業支援を中心とするスマートグラスだ(別記事参照)。近年は単眼や両眼、防爆タイプなど製造現場で使えるものが相次ぎ登場しており、新たな後継育成の支援ツールとして期待が高まっている。

図1 「mcframe MOTION VR-learning」の画面
黄色の枠で示された点検箇所を確認する。注意点などの付加情報も表示できる。 (出所:東洋ビジネスエンジニアリング)
[画像のクリックで拡大表示]

 仮想現実(VR)、人工知能(AI)といった新しいIT技術を活用した後継育成に使えるITツールも続々と登場している。例えば、東洋ビジネスエンジニアリングは、設備の稼働状況や計器のチェックといった確認作業における熟練作業者のノウハウを学ぶためのVR訓練システム「mcframe MOTION VR-learning」を提供している(図1)。熟練作業者が設備のどこをどの順番で確認しているかをVR空間上に表示する。訓練受講者は確認箇所や熟練作業者の視線の動きを予習した上で、ヘッドマウントディスプレー(HMD)を装着してVR空間に表示された確認箇所を、順番を追って見ていく。視線の動きを記録し、確認作業の順番や所要時間を定量的に評価する。

 VR空間は、実際の設備を全天周カメラで撮影した静止画や動画を基に、そこにお手本となる熟練作業者が確認するポイントを設定して構築する。3D CGなどが不要なので手軽に訓練プログラムを構築できるのが特徴だ。必要に応じて手順や確認方法、注意点などの情報も付加可能。現場に行かなくても訓練できる上、「動画を見るだけの訓練に比べて臨場感があり、学習効果が高い」(同社)という。標準価格は100万円(税別)から。

ベテランの思考パターンをAI化

 AIを活用しようとの機運も高まっている。例えば、LIGHTz(本社つくば市)は、技能継承に向けてベテラン(同社は「熟達者」と呼ぶ)の知見・ノウハウをAI化する事業を展開する。同社のAI「ORGENIUS」は、「知見や思考回路をネットワークモデル化したもの」(同社)だ。

この先は有料会員の登録が必要です。「日経ものづくり」定期購読者もログインしてお読みいただけます。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら