二元表を利用して品質と機能の関係などを整理するQFD(品質機能展開)には「相乗背反分析」、すなわち互いに影響しあったり背反したりする関係にある要件を整理する方法があります。かなり重要であるにもかかわらず、あまり活用されていないのが現状です。相乗背反分析を、「QFD-Advanced」ではどのように利用するのか、事例を用いて説明します。

相乗背反分析は、QFDの“三角帽子”

 「相乗背反分析」は、QFDの世界では“三角帽子”で表現します。図1に代表的な三角帽子を示します。機能に関わる三角帽子として「機能間影響」、部品と組立工程に関わる三角帽子として「部品&組立工程間影響」、部品製造のための原材料と製造工程に関わる三角帽子として「原材料&製造工程間影響」があります。

図1 QFDにおける代表的な”三角帽子”
「機能間影響」「部品&組立工程間影響」「原材料&製造工程間影響」などがある。
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 三角帽子の意味合いを、「原材料&製造工程間影響」を題材にして説明します。図2の二元表は、縦軸に部品(部品の特性)、横軸に原材料&製造工程を取った「部品−原材料&製造工程」二元表です。P1~P5はそれぞれ部品の特性であり、M1、M2は原材料の特性、S1~S3は製造工程の条件です。

図2 三角帽子の意味
製造条件S1を変更すると、原材料の特性と、他の製造条件に影響が及ぶ。これは二元表本体には記述できず、三角帽子に記述する。
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 ここで、製造条件S1(例えば、ある製造装置の温度)を変更する場合を考えます。S1を変更するときに、次の2つの影響が考えられます。1つめは、原材料の特性の1つであるM1を必ず変更しなければなりません。2つめが、別の製造条件(トルクや圧力など)であるS3が変化する場合を考えなければなりません。

 1つめの場合、M1を変更する必要性を見落とすと、すなわちM1を変更せずに製造すると、部品の特性P3が変化してしまいます。二元表からS1とP3の直接的な関係性は分かっていますが、三角帽子を参照しないと、上記のようにM1を変更しない場合のP3への影響までは見いだせません。

 2つめの場合、S1の変化の影響によるS3の変化を見落とすと、二元表に関係性が示されているように、部品の特性P5が変化してしまいます。S1とP5の間の直接的な関係性は二元表(の三角帽子以外の部分)には示されていませんので、やはり三角帽子を参照しないと上記の変化を見落としてしまいます。

 このような事態を防ぐには、製造条件S1が他の製造条件S3や原材料の特性M1に影響を与える事実を記述する手段が必要です。そこで図2のように、「原材料&製造工程」の展開の上に、マトリクスの半分に相当する三角帽子を設けます。これが三角帽子の意味合いであり、そこに記述される情報は、元の二元表の関係性以上の効果や、元の関係性と逆の影響を示しますので、相乗背反分析と呼ばれます。

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