前回(本誌2019年1月号)に引き続き、QFD(品質機能展開)の発展形であるQFD-Advancedの活用事例について説明していきたいと思います。今回は設計最適化の手法である品質工学のパラメーター設計と、品質に関わるFTA(Fault Tree Analysis、故障の木解析)へのQFD-Advancedの応用を取り上げます。

 題材にする製品は、前回と同様に印刷機やプリンターなどで用いられている画像形成装置の「紙送りシステム」です(図1)。ここで中央断面図をもう一度示して説明します。

図1 紙送りシステムの中央断面図
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 紙送りシステムの動作は以下のようになっています。カセットに用紙が収納されており、そこからピックアップローラーで用紙を送り出します。送り出された用紙はフィードローラーとリバースローラーに挟まれて1枚目のみが送られ、もし用紙が重なっていた場合2枚目の用紙は戻されます。そして送られた1枚目の用紙はレジストローラー部で一度停止し、画像形成のタイミングに合わせて次の印刷工程に送り込む、というものです。

パラメーター設計と連携へ

 まず、品質工学の手法の中の「パラメーター設計」という最適設計条件を求める方法について述べます。これは対象とする機能の安定性を高めるため、「制御因子(設計因子)」の“最適"な組み合わせを求めるものです。ここでいう“最適"とは、さまざまなバラつき(誤差因子)に対する安定性(指標はSN比)が高いという意味です。

 このうち制御因子について二元表と対応づけて説明すると、基本二元表の1つである「機能-設計パラメーター」二元表における「設計パラメーター」が制御因子に相当します。「機能-設計パラメーター」二元表は機能と設計パラメーターの関係を示すものであって、「機能」が安定化を目指す対象であり、設計パラメーターは設計者が決めるものであるためです。

 次に誤差因子について考えてみましょう。機能の安定性向上を目的としたパラメーター設計の実験において考慮するべきバラつき(誤差因子)には、大きく分けて2つの種類が存在します。1つは機能そのもののレベルに影響を与える誤差因子です(ノイズ[1])。紙送りシステムの事例でいえば、用紙の厚みや表面状態、剛性など、そして装置が稼働する環境などが相当します。

 もう1つの誤差因子(ノイズ[2])は、制御因子、つまり設計パラメーターのバラつきを意味する誤差因子です。初期的な部品の精度のバラつきや、環境変化や経年変化による部品特性の変動が相当します。摩耗で部材の表面状態が変化したり、電流を流すことで部材の電気抵抗などの特性が変化したりする場合に相当します。

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