異種材料接合が今、自動車業界の注目の的になっている。自動車ボディーに革新的な軽量化をもたす「マルチマテリアル設計」を実現する上で鍵となる技術だからだ。

 課題は、異なる金属同士の接合だ。同種の金属であれば溶接できる上に、溶接の自動化システムは普及している。だが、異なる金属同士の溶接は難しい。互いに特性が違うからだ。例えば、アルミニウム(Al)合金と鋼を溶接しても、実用に耐える溶接強度は得られない。

 マルチマテリアル設計で先行する欧州の自動車メーカーは、Al合金と鋼の接合に機械的締結であるセルフ・ピアシング・リベット(SPR)や、フロー・ドリル・スクリュー(FDS)を主に使っている。Al合金板と鋼板を重ね、前者はリベット(SPR)を片側の金属板から打ち込み、後者はタッピンねじに似て先がとがったFDSをねじ込んで接合する仕組みだ。スポット溶接並みに高速な自動化システムを欧州の自動車メーカーは既に量産工程で使っている。

超高張力鋼板で差を付ける

 日本の自動車メーカーは、ボディーのマルチマテリアル化で欧州の自動車メーカーの後塵を拝している。とはいえ、SPRやFDSを使った自動締結システムを今から導入しても欧州の自動車メーカーに周回遅れで並ぶだけだ。

 こうした中、軽量化の点で従来の締結システムをしのぐ可能性がある異種材料接合の自動化システム(以下、自動異種材料接合システム)「エレメントアークスポット溶接(EASW)ロボットシステム」を開発したのが、神戸製鋼所とファナックである(図1)。「従来をしのぐ」の根拠は、引っ張り強さが590MPaを超える高張力鋼板(ハイテン材)とAl合金を接合できること。さらに、引っ張り強さが980MPa以上の超高張力鋼板(スーパーハイテン材)も接合できる(図2)。

図1 新しい自動異種材料接合システムに使うロボット
神戸製鋼所の異種材料接合技術とファナックの6軸垂直多関節ロボットを組み合わせた。 (出所:神戸製鋼所)
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図2 Al合金板と超高張力鋼板の接合サンプル
従来の機械的締結では対応できない、引っ張り強さが980MPa以上の超高張力鋼板でも問題なく使える。

 これに対し、SPRやFDSを使った従来の自動締結システムは超高張力鋼板はもちろん、高張力鋼板も使えない。鋼板の表面が硬すぎてSPRもFDSも刺さらないからだ。

 高張力鋼板は引っ張り強さが大きいものほど軽量化効果が高くなる。現時点では冷間プレス材で1.2GPa(1200MPa)程度まで、熱間プレス材であるホットスタンプ材では1.5GPa(1500MPa)程度まで自動車ボディーに採用済み。軽量化効果をさらに高めるべく、これらはそれぞれ1.5GPa、2.0GPaに向かって開発が進んでいる。設計に織り込めば、マルチマテリアルボディーの実力は一層高まる。新しい異種材料接合の自動化システムは、こうした将来の進化にも対応できる。

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