体系的な学習が必要

 実は、品質手法の使い方にも同じことが言えます。全体最適の視点がないために、せっかくの品質手法が効力を発揮しないのです。

品質手法を使えば、品質トラブルを防げるはずではないのでしょうか。

皆川氏:トヨタグループでは17の品質手法を使います。これだけの手法を使いこなさないと、トヨタグループの品質を守れません。使いこなすためには、17の品質手法の体系的な学習が必要です。というのは、トヨタグループでは、17種類の品質手法を有機的に連携させて品質を造り上げているからです。個々の品質手法をばらばらに使うだけでは部分最適しか得られません。全体最適の品質にはならないのです。

 ところが、品質手法を単発で学ぶだけで、全体を俯瞰した教育を考えていない企業がしばしば見受けられます。個々の品質手法を学んで実践すれば、品質問題から解消されると思い込んでいる節があるのです。

 品質とは「顧客の満足」です。そこにもう1度立ち返らなければなりません。顧客を満足させるために何をすべきかを考えれば、単発の品質手法を部分的につまみ食いするだけでは、顧客の満足を勝ち取れないと自然に理解できるはずです。

 例えば、QFDとは一体何か、何のために使うのか、それは全品質手法においてどのような位置付けにあり、どの品質手法と連携させて使う必要があるのか─。こうした「品質手法の本質」を理解せずに、「QFD講座を受講したから、品質問題から解放される」と浮かれていたら、後で痛い目に遭います。例えば、QFDを実施して設計目標値は決まるでしょうが、その後、具体的にどのような未然防止活動を実践したらよいかは全く分からないといった具合です。