「トヨタ流人づくり 実践編 あなたの悩みに答えます」では、日本メーカーの管理者や社員が抱える悩みに関して、トヨタ自動車流の解決方法を回答します。回答者は、同社で長年生産技術部門の管理者として多数のメンバーを導き、その後、全社を対象とする人材育成業務にも携わった経歴を持つ肌附安明氏。自身の経験はもちろん、優れた管理手腕を発揮した他の管理者の事例を盛り込みながら、トヨタ流のマネジメント方法を紹介します。
悩み

管理者に任命されました。30人ほどの部下を抱えることになります。これまで10年間、技術者として開発設計に従事してきたので設計には自信があるのですが、当然、部下を管理する仕事は初めてです。社内で新任管理者向けレクチャーは受けたのですが、正直言って心構えを説くだけの内容で、実践的とは思えませんでした。管理者として成果を出すにはどのような能力が必要でしょうか。

編集部: 多くの日本企業ではある時点で社員から管理者に昇格する機会があります。自分に割り当てられた仕事を頑張ればよい社員の立場から、人を動かして組織の成果をより大きくすることを求められる管理者の立場に変化するのですから、責任の重さは相当なものだと思います。

肌附氏 確かに、かつて私が管理者の辞令を受けた時にも責任の重さを感じ、緊張したものです。部下を抱えるというからには、部下を正しく導かなければなりません。もしも間違っていたら、職場全体を誤った方向に進めてしまうのです。

 しかも、その影響が自分が管理する職場にとどまるとは限りません。私が所属していた生産技術部は、開発や設計を行う技術部とクルマを造る製造部(工場)に密接に関わっていました。従って、自分が判断を間違えたら、他部門にも迷惑を掛けてしまう可能性があります。もっと言えば、外部の取引先を巻き込んでしまうかもしれないのです。大抵の仕事は社内だけでは完結しないからです。

編集部: 一社員の立場であれば、仮に間違ってもそこまで大きな影響を与えずに修正できるケースが多いと思います。それが難しい管理者に任命されたばかりの人は大きなプレッシャーの下、戸惑うケースが多いのではないでしょうか。

肌附氏 プレッシャーを感じるのは当然です。しかし、部下を導く管理者が戸惑っているようでは困ります。戸惑ってしまうのは、管理者として必要な能力が不足しているからです。ところが、どのような能力が必要かについては、案外、学ぶ機会が少ないのではないでしょうか。

 私はトヨタ自動車で特に大きな成果を出した上司を分析し、優秀な管理者が身に付けている能力を明らかにしました。そして、自分が管理者になった時に実践し、また部下に伝授していきました。

編集部: 大きな成果を出せるトヨタ流管理者の条件というわけですね。どのようなものでしょうか。

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