ブリヂストンサイクルが自転車に搭載していた1つの鍵で前輪と後輪を1度に施錠できる「一発二錠」に不具合が発覚した。走行中にハンドルのロック機構が突然働いてユーザーが転倒する事故が何件も発生したのだ。消費者庁によれば、原因調査中の案件も含めて、これまでに同機構を原因とする事故で20人以上が負傷した。ユーザーに異常を知らせる仕組みはあったが、販売当初の取扱説明書に記載が無かった。

 ブリヂストンサイクル(本社埼玉県上尾市)は2019年6月24日、2003年9月~2015年5月に製造した自転車および電動アシスト自転車のうち、「一発二錠」の機能を搭載した316万台以上のリコールを発表した。同社がヤマハ発動機にOEM(相手先ブランドによる生産)供給した27万台弱と併せると、リコールの影響は合計343万台に及ぶ*1。現在、無償の点検と改修に応じている。

*1 ヤマハ発動機によるリコールは、2004年10月から2015年1月に製造された電動アシスト自転車「PAS」シリーズのうち、一発二錠の搭載製品が対象だ。

 一発二錠は、1回の施錠動作で後輪の回転を止めると同時に、ハンドルの回転を固定する機能だ(図1)。後輪の錠とハンドルの「ロック機構」が金属ワイヤで連動しており、駐輪時にハンドルを左右のどちらかに切った上で後輪を施錠しておけば、ハンドルが固定されて運び出しにくくなり、盗難の防止に役立つ。2003年に発売したブリヂストンサイクルの自転車に初めて搭載した。

図1 一発二錠の概要
後輪側の鍵(a)を施錠すると、金属ワイヤーで連動させたハンドルのロック機構(b)が働いてハンドルの回転を止める。表示窓によって開錠状態か施錠状態かが分かる。(図左:日経ものづくり、写真右:ブリヂストンサイクル)
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 詳細は後述するが、このロック機構はハンドルを乱暴に扱って内部の部品が破損した際、そのケースが割れるように意図して設計してあったという。同社の説明によると、見た目の変化によってユーザーに異常を知らせるためだ。しかし、今回のリコールではこの設計があだとなった。多くのユーザーはケースの破損によって機能に問題が生じるとは考えなかった。ましてや事故につながるような不具合があるとは思いもせずに、自転車を使い続けてしまった。その結果、一部の自転車と電動アシスト自転車で走行中にロック機構が誤動作。転倒事故を招いてしまったのだ。

 消費者庁によると、リコールの対象となった自転車・電動アシスト自転車において、2017~2019年度に21件の重大製品事故が発生1)。原因調査中も含めた数字だが、被害者はいずれも重傷を負っている。ブリヂストンサイクルと、事故を調査した製品評価技術基盤機構(NITE)への取材を基に、事故の詳しい原因とリコールに至る経緯を見ていく。

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