住宅用太陽光発電システムによる火災などの事故は、この10年間で100件を超える。その原因の1つが経年劣化に起因する太陽光パネルの不具合だった。導入件数のピークは2013年のため、使用年数が10年を超える製品が今後増えてくるのは確実だ。事故の多発を未然に防ぐためには、製品側での対応はもちろん、既存製品の保守点検なども重要となる。

 消費者庁の消費者安全調査委員会(以下、調査委員会)は2019年1月28日、住宅用太陽光発電システム*1から発生した火災事故(発火、発煙、加熱を含む)の調査結果(以下、調査報告書)を公表した1)。この10年で急激に普及した住宅用太陽光発電システム。現時点では死亡事故は報告されていないが、同システムの火災事故は、2008年3月~2017年11月に127件発生している(図1)。

*1 太陽電池モジュールを住宅の屋根に設置し、主に自家用電力として使用する製品を「住宅用太陽光発電システム」と定義している。

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図1 住宅用太陽光発電システムによる火災事故
消費者庁と国民生活センターの「事故情報データバンク」には、住宅用太陽光発電システムによる火災、発火、発煙、加熱などの事故が2008年3月~2017年11月に127件発生したと登録されている。(a)は、 2017年10月に愛知県で発生した屋根とパネルの一部が焼損した事故、(b)は2016年3月に広島県で発生したパネルと屋根裏の一部が焼損した事故。 (出所:消費者庁)

使用年数7年以上で高リスク

 火災事故は太陽光発電システムのさまざまな場所で発生している。同システムは、屋根などの上に設置する住宅用太陽電池モジュール(いわゆる太陽光パネル)、複数の太陽電池モジュールで発電した直流電力をブロック(太陽電池ストリング)ごとにまとめてパワーコンディショナーに供給する接続箱、発電した直流電力を交流電力に変換して送電する機能やさまざまな保護・制御機能を持つパワーコンディショナー、太陽電池モジュール間や接続箱、パワーコンディショナーを接続するケーブルで構成される(図2)。

図2 住宅用太陽光発電システムの構成
太陽光エネルギーを電力に変換する太陽電池セルを複数接続して封止したものが太陽電池モジュール。電圧を高めるために、それを直列に接続したものが太陽電池ストリングで、これを並列に接続して所定の電力を得られるように構成したものが太陽電池アレイとなる。接続箱は、発電した直流電力をまとめてパワーコンディショナーに供給し、パワーコンディショナーは、直流電力を交流電力に変換する機能やさまざまな保護・制御機能を備える。 (消費者庁の資料を基に日経ものづくりが作成)
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 調査報告書で対象とした火災事故72件の発生場所を分類すると、太陽電池モジュールまたはケーブルから発生した火災事故が13件、パワーコンディショナーもしくは接続箱から発生した火災事故が59件だった*2。特に前者(太陽電池モジュールやケーブル)は、屋根の部材が近接している可能性が高いため住宅火災につながって人的被害が拡大しやすい。そこで今回は、この13件を重点的に調査している。

*2 製品評価技術基盤機構(NITE)で調査中のもの、原因不明とされていたもの、NITEの事故情報データベースに登録されていなかったものなどを除いた。

 まず火災事故の原因について、消防機関や製品評価技術基盤機構(NITE)、製造業者などから情報を収集し、原因を分析した。すると、ケーブルについては主に施工不良が原因だったが、太陽電池モジュールの場合には経年劣化による不具合が原因だと推定できた。実際、発火箇所がモジュールだと推定された火災事故5件は、使用年数が7年以上の製品で発生している。

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