2017年9月23日、関西国際空港を離陸したばかりのKLMオランダ航空の機体からパネルが脱落した。脱落したパネルは大阪市内に落下し、車両に衝突する事態に至った。事故の原因は、パネルの取付金具の性能不足だった。

 脱落事故は、KLMオランダ航空の定期868便が関西国際空港(大阪府泉佐野市)を離陸した直後に発生した。国土交通省の運輸安全委員会は、同社の部品脱落を「航空機から脱落した部品が人と衝突した事態」*1に準ずるとして重大インシデントに認定。事故調査に乗り出し、2018年11月末に航空重大インシデント調査報告書(以下、報告書)を公表した1)

*1 航空法施行規則第166条の4第16号に規定されている。

 なお、事故当時、全日本空輸(ANA)でもパネル部品の脱落が2件立て続けに起こっており、KLMオランダ航空の事故と合わせて国が対策強化に乗り出すきっかけとなった2)、*2。以下では運輸安全員会が公表した報告書に基づいて事故の詳細を解説する。

*2 国土交通省は航空関係者や有識者などから成る「落下物防止等に係る総合対策推進会議」を2017年11月に発足。2018年3月に落下物対策の強化策をまとめた。

脱落パネルが走行中の車両に衝突

 事故を起こしたKLMオランダ航空の定期868便はボーイング777-200型機で、機長の他乗組員11人と乗客309人の計321人が搭乗していた。

 事故の経緯は次の通り。2017年9月23日10時39分頃、同機がオランダのアムステルダム・スキポール国際空港に向けて関西国際空港を離陸。その直後の10時57分頃に、上空から落下してきた航空機のパネルが大阪市北区西天満3丁目の国道1号線を走行していた車両に衝突した(図1)。KLMオランダ航空関西空港支店は、脱落したパネルの写真情報を12時55分頃に警察から入手して本社へと送付。同社本社のオペレーション・コントロール・センター(以下、OCC)は、同機に胴体のパネルが脱落した疑いがあると14時27分頃に機長へと無線通信で連絡した*3

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図1 事故機と脱落したパネル
事故を起こしたKLMオランダ航空のボーイング式777-200型機(a)と、脱落した胴体フェアリング(整流板)のパネル(b)。頭に「S」の付いた数字表記部がスクリュー、「B」の付いた数字表記部がボルトによる固定用の穴である。B1~B4の位置に前方上部ブラケットがある。(出所:運輸安全委員会)

*3 衛星電話を通じ、機長はOCCから同社の塗装が施されたパネルが車両と衝突したという情報を入手した。

 機長は機内与圧や操縦系統、燃料消費量などを確認。客室責任者と控えの操縦士にはパネル取り付け部位付近からの異音や振動などの有無の確認を指示した。その結果、機体に異常は認められず、機長は緊急を要する事態では無いと判断して飛行を続行した。

 同社本社のメンテナンス・コントロール・センターは、写真情報からパネルが右主翼後縁付け根上方の「胴体フェアリング(整流板)のパネル(以下、脱落パネル)」であると特定し、安全な飛行継続が可能かどうかを機体製造者(米ボーイング)に打診した。

 実は、これまでも同型機において同一のパネルが脱落した事例が数回あったが、いずれも飛行や機体構造への影響はなかった。そうした情報を得たことから同機はそのまま飛行を継続し、同日21時38分頃にアムステルダム・スキポール国際空港に着陸。その後、右主翼後縁付け根上方の胴体フェアリングのパネルの脱落を、KLMオランダ航空の整備士が確認した。

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