「充電中の待ち時間が長すぎる」─。

電気自動車(EV)利用者の多くが抱えるこの不満を解決する、電池「交換式」モビリティーが続々と登場している。

乾電池を入れ替えるように、使用済みと充電済みの電池パックを交換する。

短いものなら10秒未満で交換作業が終わる。まずは車格が小さい2輪車や超小型モビリティーから適用が進みそうだ。

この電池交換のサービスを新たな収益源に育てようと、既存の車両メーカーやベンチャーによる覇権争いが始まっている。


 世界各地に続々と登場する電池「交換式」モビリティー。電気自動車(EV)を含む電動モビリティーの欠点を補うこの仕組みは、先陣を切ったベンチャー企業を追って、ホンダやヤマハ発動機などの大手メーカーが進出し、本格的な競争のフェーズに突入した。

 「便利すぎてガソリンスクーターには戻れない」─。台湾で日経 xTECHの取材に応じた20代の男性は、現地ベンチャー・ゴゴロ(Gogoro)が手掛ける電池交換式の小型EVスクーターの利便性がお気に入りだ。

 Gogoroは電池交換のビジネスモデルを確立した先駆者だ。街中の交換ステーションで充電済みのものと入れ替え、大量の電池を利用者でシェアして使うのが特徴である(図1)。

図1 台湾GogoroのEVスクーターと交換ステーション
交換ステーションは2019年5月時点で1250カ所近くに上る。(写真:日経 xTECH)
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電池交換3つの利点

 これまでも着脱式の電池を備えるEVは存在していたが、十分な数の交換ステーションを用意できず衰退した。前出の男性が「便利すぎる」と表現したのは、Gogoroの交換ステーションがどこにでもあるからだ。排ガス問題を重く見た台湾政府の後押しを得て、同社は交換ステーションの数を拡大。2019年5月時点で1250カ所近くに上っている。車両価格は、補助金を使ってもガソリンスクーターの約1.2倍と割高だが、顧客は利便性の高さでGogoroを選ぶ。

 電池交換式の利点は大きく3つ。[1]充電の待ち時間がほぼ無くなり車両を連続で使える、 [2]技術の進歩に合わせて電池を改良して載せ替えられる [3]1個の電池を多用途で使い回すためコストダウンしやすい─である(図2)。

図2 電池交換式モビリティーにおける3つの利点と車格ごとの相性
特に2輪車や超小型モビリティーに向く。(日経 xTECHが作成)
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 [1]について、Gogoroは「6秒で電池を交換できる」とうたう。従来は30分以上かかっていた充電待ちの時間は数百分の一となり、車両の稼働率が大幅に高まる。最新の電池を採用できる[2]も魅力だ。電池の技術は日進月歩。セルのエネルギー密度が高まれば、大掛かりな改修なしに航続距離を伸ばせる。ホンダなどは、電池を多用途で使い回す[3]の特徴に注目して事業展開をもくろむ。

 EVスクーターに次いで超小型EVでも、トヨタやホンダが電池交換式の普及に動き出している。一般に電池交換式モビリティーは、車格が大きくなると電池も大きく重くなったり、交換ステーションが大規模になったりといった課題に直面する。しかし、主に「ラストワンマイル」用途を想定した超小型EVなら電池は小さくて済み、そうした問題は生じない。

 以下では、電動2輪車および超小型EV、それぞれの電池交換式車両や交換プラットフォーム(PF)開発の動向を見てみる。

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