宇宙にまつわる産業構造が大変革期を迎えている。これまで「半官の準公共事業」の色合いが濃かった日本の宇宙ビジネスでも、ようやく民間の産業分野として本腰を入れる機運が高まってきた。“日本版GPS"「みちびき」による高精度衛星測位や気候変動観測衛星「しきさい(GCOM-C)」などを使った衛星リモートセンシングのデータを、新たな分野に応用する民間の取り組みが活発化し、宇宙ベンチャーへの大企業の投資も増えている。日本政府も「宇宙産業ビジョン2030」を掲げ、宇宙ベンチャーを資金・技術・人材面で支援する施策を発表した。出遅れていた日本の逆襲が始まる。

気候変動観測衛星「しきさい(GCOM-C)」(画像出所:JAXA)
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衛星リモートセンシング
産業を変える宇宙の眼

 人工衛星をIoT(Internet of Things)のセンサーの一種として利用できる環境が整い始めてきた。背景にあるのは、地球上のあらゆる地域を観測する衛星インフラの整備である。

 例えば、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2017年12月に打ち上げた気候変動観測衛星「しきさい(GCOM-C)」(図1)は、近紫外から熱赤外までを可視化する多波長光学放射計(SGLI)を搭載、大気中のちりや植生、海面温度などを観測できる。2018年4月2日には山口県の日本海側に発生した赤潮を観測している。

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図1 気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)(左)としきさいが観測した山口県周辺のトゥルーカラー合成画像(右)
暗い海面を高感度に観測可能な多波長光学放射計(SGLI)を搭載し、2018年4月2日には日本海側沿岸の赤潮の観測に成功した(赤点線内)。しきさいは2017年12月23日にH-ⅡAロケット37号機で打ち上げられた。 (出所:JAXA)

 「養殖の大敵である赤潮のリスクを、人工衛星で低減できるかもしれない」。水産業における衛星活用に期待するのが、JAXA出身の技術者らが2016年に創業した異色のITベンチャー、ウミトロン(本社:シンガポール、開発拠点:東京都港区)だ。2018年6月には、産業革新機構やVC(ベンチャーキャピタル)のD4V(ディー・フォー・ヴィ)、個人投資家らから第三者割当増資を受け、9億2000万円超と巨額の資金調達に成功して話題になった。

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