富士通は2019年12月2日、理化学研究所(理研)と共同で開発したスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」の出荷を始めた。富岳用のコンピューターラック(以下、ラック)約400台を2020年6月までに製造し、理研の計算科学研究センター(神戸市)に納入する。同日、第1弾となる6台のラックを出荷するセレモニーを開催。富岳の製造工場を初公開した(図1)。

図1 富岳を製造するラインの一部
富岳は富士通ITプロダクツ(石川県かほく市)で製造する。出荷セレモニーに合わせて工場の一部を公開した。(写真:日経ものづくり)
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CPU15万個、実行性能は「京」の100倍

 富岳は1100億円の国費を投じるプロジェクトだ。ラック1台には、192枚のメインボードが格納されており、同ボード1枚当たりには、富岳用に開発したCPU「A64FX」2個を搭載する(図2)。ラック1台当たりのCPU数は384個で、最終的には400台以上のラック(CPU数15万個以上)によって400PFLOPS*1の演算性能を想定している。富岳の前身機だったスパコン「京(けい)」と比べてアプリケーションの実行性能が最大100倍に高まる一方、消費電力は約3倍に抑えられる見込みだ。

図2 「富岳」のコンピューターラック
ラック1台あたり192枚のメインボードを搭載する。メインボード1枚につき2個のCPUを搭載するので、ラック1台当たりのCPUは384個。(写真:日経ものづくり)
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*1 FLOPS
FLOPS(フロップス)は1秒間に処理できる浮動小数点の演算回数を示す。1PFLOPSは、1秒間に1京回の浮動小数点演算が可能。

 富士通は2014年から富岳の開発を始め、2019年秋から製造に着手していた。開発・評価・製造の拠点は全国3カ所にまたがる。富士通の川崎工場にハードウエアとソフトウエアの開発拠点が、同沼津工場にソフトウエアの開発拠点とシステムの評価拠点がある。製造拠点となるのが富士通ITプロダクツ(本社石川県かほく市)で、今回のセレモニーは同社で開催した。

 同社は、富士通グループにおけるコンピューターシステムの基幹工場だ。生産品目には、UNIXサーバー「SPARC M12」シリーズ、IAサーバー「PRIMEQUEST」シリーズ、メインフレーム「GS21」などがある。京も製造していた。セレモニーで富士通ITプロダクツ社長の加藤真一氏は、「京を製造した経験が富岳に生きている」と語った。

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