東芝は、目視や通常の画像検査では検出しにくい小さな傷や異物を可視化する「ワンショット光学検査技術」を開発した。被測定物(ワーク)の表面状態に応じて生じる光のわずかな散乱光を検出して色の違いで識別できるようにする(図1)。深さ数μm程度の浅い傷や異物を判別できるという。同社は同技術を、2019年11月7、8日に開催したプライベート展示会「TOSHIBA OPEN INNOVATION FAIR 2019」(グランドニッコー東京 台場)に出展した。

図1 ワンショット光学検査技術による表面検査
肉眼や通常のカメラでは判別できない小さな傷を識別できる。(資料:東芝、写真:日経ものづくり)
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傷による散乱を利用

 同技術は、物体側テレセントリック光学系と、同光学系のレンズの焦点位置に配した「多波長同軸開口」と呼ぶ光学フィルター、ワークを照らす平行照明から成る。テレセントリックは、工場などの外観検査におけるマシンビジョンなどで広く用いられる光学系だ。レンズの光軸と主光線が平行で、ワークとレンズの距離が変わっても、得られる像の大きさが変わらないという特徴がある。もう1つの特徴である多波長同軸開口は、中央部が青色の、その周囲は赤色の光だけを通すカラーフィルターとなっている。

* テレセントリック光学系
主光線がレンズ光軸に対して平行な光学系。撮影対象物(物体)側の主光線が光軸に平行な「物体側」の他に、撮像素子(像)側が平行な「像側」、物体・像側ともに平行な「両側」の3種類がある。

 傷の可視化の仕組みはこうだ。テレセントリック光学系の特性から、平滑な正常部に当たった光は、レンズ光軸と平行に進んでレンズに向かい、レンズ通過後に焦点位置の中央を通る。これに対し、傷がある箇所に当った光は散乱によって、斜め方向に進むため、レンズの焦点位置においては中央からずれたところを通る。

 つまり、正常部の反射光(正反射光)は、多波長同軸開口の中心部(青色光のみ透過)を通る。一方、傷がある箇所で反射した散乱光はその周囲(赤色光のみ透過)を通って撮像素子(イメージセンサー)に届く。従って、正常部の像は青く、傷のある箇所は赤く映る(図2、3)。鮮明に色分けできるので、画像認識技術などと組み合わせれば検査の自動化も期待できそうだ。

図2 ワンショット光学検査技術の原理
(資料:東芝、写真:日経ものづくり)
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図3 検査画像の一例
傷のある箇所が赤く映っている。(資料:東芝、写真:日経ものづくり)
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 同技術は既存設備の大幅な改造を必要とせず、レンズや光学フィルターの変更によってさまざまな大きさや種類のワークに対応できる。また「構成要素は一般的な部品ばかりで特殊な光学系なども使っていないため、低コストで実現できる」(東芝研究開発本部研究開発センター機械・システムラボラトリーの岡野英明氏)という(図4)。

図4 展示会に出展していたデモ機
構造がシンプルで特殊な光学系なども必要ないため安価で小型な設備で済むという。(写真:日経ものづくり)
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