マツダが挑む悲願の高級路線。その成否を左右するFR(前部エンジン・後輪駆動)車の第1弾がSUV(多目的スポーツ車)の次期「CX-5」、続いてセダンの次期「マツダ6(旧アテンザ)」になると日経 xTECHの調べで明らかになった(図1、2)。量産開始時期は次期CX-5が2021年春、マツダ6が2022年にずれ込む見通しだ。

図1 現行CX-5
年間50万台を売ったマツダの看板車種から高級路線をスタートさせる。新しく開発する直列6気筒のディーゼルエンジンとガソリンエンジンを用意し、FR(前部エンジン・後輪駆動)車とする。(出所:マツダ)
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図2 現行アテンザ
2022年の出荷を目指す次期型では直列6気筒エンジンのFRとなる見込み。車名は「マツダ6」に改名される。(出所:マツダ)
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 FRの次期CX-5とマツダ6には新しく開発する直列6気筒のディーゼルエンジンとガソリンエンジンを用意する(図3)。“直6”は、高級車ブランドの代表格である独BMWや独メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)が、上級車のエンジンに採用する気筒配置。直6の投入は、FR化とともにマツダの高級路線のカギを握る。

図3 直列6気筒を想定した排気装置に関するマツダの特許図
2017年に公開された。(出所:公開特許公報「特開2017-110617」)
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 日経Automotiveがかねて報じていた2020年の量産を目指す当初の計画から、1年以上遅れる。簡素な排ガス後処理装置で厳しい規制をクリアするディーゼル技術の開発などに苦労しているようだ。

 マツダ6がCX-5からさらに遅れるのは、新型直6エンジンの開発が遅れ気味なことに加えて、2021年にトヨタ自動車と共同で設立する米国新工場計画の影響がある。同工場で生産する北米向けの新しいSUV(多目的スポーツ車)の開発を優先しているようだ。

 2020年は、マツダにとって会社設立100周年にあたる。悲願のFR車の投入が節目の年に間に合いそうにないが、2021年から本格的に始まる欧州の厳しいCO2排出量規制には間に合わせたい考えとみられる。

直6を48V簡易ハイブリッドに

 マツダは2019年5月、直列6気筒のディーゼル機とガソリン機を開発していると正式に発表していた。48V対応のモーターを搭載した簡易ハイブリッド機構にする計画である。マツダの現行主力プラットフォームは、FF(前部エンジン・前輪駆動)である。小型車はFFのプラットフォームを継承するが、中大型車は今後、新しいFRのプラットフォームに変えていく。

 FRにすると操舵輪と駆動輪を前後に分けられて、走行性能を高めやすい。高級車ブランドであるBMWやメルセデスの主力車はFRである。一方でFRの場合は車両の前側に搭載するエンジンから後輪に動力を伝えるプロペラ軸が必要になり車室が狭くなりがちである。小型車より中大型車に向いた駆動形式となる。

 マツダが躍進したきっかけは2012年に実用化した「スカイアクティブ」技術群である。パワートレーンやシャシー、ボディーを含めた同技術群を初めて全面的に採用したのが、同年に発売した初代CX-5だった。スカイアクティブ技術群の競争力の高さに加え、今も続くSUVブームと相まって、CX-5は「大成功」(マツダ幹部)した。一時期は年間50万台程度の販売台数に達し、マツダの看板車種になった。CX-5の次期型をFR戦略の第一弾に据え、高級路線化の成功確率を高めたい考えだろう*1

*1 CX-5は2017年に全面改良したばかり。次期型投入が2021年になると異例の短期間になるが、それを見越したのか、2017年の全面改良ではプラットフォームやエンジンなどについては小幅な改良にとどめた。

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