仏ミシュラン(Michelin)は米ゼネラル・モーターズ(GM)と技術提携し、乗用車向けエアレスタイヤの量産に乗り出す。試作品「Uptis Prototype」を主催するグローバルサミット「Movin’On Summit 2019」(2019年6月4~6日、カナダ・モントリオール)で公開し、GM「シボレー(Chevrolet)」ブランドのEV「Bolt EV」への装着例を披露した(図1、2)。

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図1 ミシュランが披露した乗用車向けエアレスタイヤの試作品「Uptis Prototype」
樹脂製のスポークにゴム製の接地面を貼り付ける構造を採る(a)。樹脂スポークやゴム製の接地面にガラス繊維を配合して耐久性を向上させた(b)。(写真:日経 xTECH)
図2 GMの「Bolt EV」への装着例
(写真:日経 xTECH)
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 2024年にも量産を始めるGMの新型車に搭載し、中国などアジア市場を狙う。初搭載は電気自動車(EV)となる可能性が高い。将来的にはGMの他車種や他メーカーにも展開する。同社執行副社長で研究開発部門を統括するEric Philippe Vinesse氏は「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に向けた新しいタイヤの形」と力説した(別掲記事参照)。

エアレスで耐荷重500kg、パンクの心配なし

 通常のタイヤは密閉構造にした内部に空気を充填して荷重を支えているが、エアレスタイヤは樹脂成形のスポークでその代わりをする。試作品では円形のアルミ基材に樹脂スポークを組み付け、あらかじめ溝を加工したゴム製の接地面(トレッド)を周方向に貼り付けていた。スポークの数は現状64本だが、車両サイズや質量、タイヤの径に合わせて変えていく。

 エアレスタイヤはこれまで、強度や剛性を高めることが難しく、乗用車への適用は難しいとの見方が強かった。ミシュランは、樹脂スポークやゴム製の接地面の内部に組み込んだ補強帯にガラス繊維を配合して耐久性を向上。走る・曲がる・止まるといった基本性能を一般タイヤの水準まで高めつつ、1輪あたりの対荷重性能を500kgまで引き上げた。前後4輪に装着すれば合計2000kgまで耐えられ、車両質量が約1600kgのBolt EVクラスなら対応可能とする。最高速度は210km/hまで出せるという。

 接地面は摩耗したら交換する。初めて乗用車向けとして実用化する2024年の段階では、新しいものと貼り替えるリトレッドを想定する。空気を充填していないため、パンクで空気が漏れる心配が無い。「定期的な空気圧の点検が不要なため、ダウンタイム(非稼働時間)を大幅に減らせる」(Eric氏)。車両が突然稼働できなくなる事態を防げるため、シェアリングといった商用で使いやすい利点がある。

* リトレッド トラック用のタイヤでは一般的な技術でタイヤの接地面だけ交換する。新品のタイヤと交換する場合に比べて約4割のコストを削減できる。

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