ヴァイナス(本社大阪市)は流体解析で得た複雑な流れの時系列データから、複数の基本的な渦現象を成分要素として取り出すツール「FBasis V1」を2019年7月3日に発売した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が研究用途に開発、利用しているツールを基に、一般販売可能な形にした。処理の過程で、成分要素として重要な現象を選び出すのに機械学習技術を応用する。単に流れを可視化するだけでなく、複雑な現象を基本的かつ特徴的な現象に分解・抽出して知見を得るツールは「商用としては世界初」(ヴァイナス)という。同社は流体に関わる機械設計での検討用途を見込む。

 JAXAはFBasisを、宇宙から大気圏に再突入するカプセルの姿勢が不安定になる現象の解明のため、カプセル後方の空気の流れを解析する研究などに利用している(図1)。カプセル後流の渦の形は既存のポストプロセッサーでも見えるが、渦がどのような構造で成り立っているのか、どこで生じるのか、といった分析は難しい。

図1 JAXAによるFBasisの適用例
FBasisはもともとJAXAが研究用途で開発した。宇宙船カプセルの大気圏再突入時の解析などに用いている。(出所:JAXA)
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 FBasisでは、渦を「縦渦モード」「らせん渦モード」「交番渦モード」といったモードに分解。それぞれのモードが持つ周波数と空気力により「カプセル姿勢の不安定性に特に縦渦モードが影響するとともに、大きな抗力を生む」といった知見が得られる(図2)。複数のモードそれぞれの特徴を把握し、例えば「らせん渦モードはカプセルを上下左右に振る力、交番渦モードは上下方向の力(揚力)に特に寄与している」といった分析が可能だ。

(a)大気圏再突入カプセル後流の可視化
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(b)モードに分解
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図2 カプセル後流の可視化とモード分解
単なる可視化でも渦の形は分かるが、その細かい構造や詳細な発生場所などまでは読み取れない(a)。動的モード分解(DMD)によるモード抽出で、それぞれの空間的な特徴や振動の周波数、カプセルに及ぼす抗力、揚力、横力の分析が可能になる(b)。(出所:JAXA)

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