「CADはルネサンスの時代を迎えている」─。PLMベンダーの米PTCは2019年6月10~13日、米国ボストンで社内年次イベント「LiveWorx 2019」を開催。基調講演に登壇した同社社長兼CEO(最高経営責任者)のJames Heppelmann氏はこのように語った(図1)。念頭にあるのは、リアルタイムシミュレーションやジェネレーティブデザイン、拡張現実(AR)技術である。同氏は「CADが再び革新の土壌になりつつある」と強気な姿勢を見せた。

図1 米PTC社長兼CEO(最高経営責任者)のJames Heppelmann氏
同氏は講演で3D CADやPLMといった「財産」が新技術を訴求していると話した。(写真:日経ものづくり)
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AR企業を買収

 近年、PTCはARの関連事業に注力している。2019年4月、欧州最大の産業展示会「Hannover Messe 2019」では、ARを使い動画マニュアルを作成するツール「Vuforia Expert Capture」を披露した(関連記事)。今回のイベントでも、ARシステムの開発を手掛けるオランダTWNKLSの買収を明らかにした

* 買収額は非公開。

 2011年創業のTWNKLSは、スウェーデン発の家具大手IKEAのスマートフォンアプリ「IKEA Place」の開発元。このアプリは、ARを使ってあたかも家具を自宅に設置したかのような映像を見られるものだ。ARはPTCの事業として存在感を高めており、ARツール「Vuforia(ビューフォリア)」シリーズは、「PTCのソフトウエア販売のうち約7%を占めている」(Heppelmann氏)という。TWINKLSの買収でこの分野をさらに強化する考えだ。

ARでCADモデルを生かす

 Heppelmann氏が強調するのは「デジタルスレッド」という考え方である。これは、開発から生産、保守までの業務工程をデジタル化して生まれる、一貫した情報の流れ(脈:スレッド)を意味する。ARはデジタルスレッドにおけるデータ活用の道具といえる。例えば基調講演で同氏は、PTCの3D CAD「Creo」とVuforiaを組み合わせた部品認識機能を紹介した。専用のスマホアプリを使う。カメラで部品をとらえると、品番を特定できる(図2)。

図2 部品認識にARを使う様子
部品をスマートフォンでのぞくとPLMの情報を呼出して品番を特定する。(出所:PTC)
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 VuforiaはPTCのIoT(Internet of Things)基盤「ThingWorx」と接続し、そこからさらにPLMツール「Windchill」の部品情報を呼び出す。部品のCADモデルを基に機械学習の推論モデルを構築し、品番を特定する。従来のようにバーコードを使わずとも、社員や顧客は部品情報を取り出せる。Heppelmann氏は「あらゆる情報をPLMから取り出せることを想像して欲しい」などと語った。

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