ニッタ(本社大阪市)は不定形の食品を直接把持できるロボットハンド「SOFTmatics」の受注を開始した(図1)。ウレタン樹脂製のグリッパーで、一定の大きさの軟らかいワークを変形したり、つぶしたりしないようにつかめる。同社は弁当や菓子など食品を扱う工場での使用を想定している。

図1 3種類のグリッパー
ワークのサイズに合わせて3種のグリッパーがある。(写真:日経ものづくり)
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 弁当や菓子など食品を扱う工場でも他産業の工場と同じように、人手不足や安全衛生管理に対する意識の高まりからロボットによる自動化が求められている。しかし、金属製品や樹脂製品と異なり、食品は軟らかいので力を加えすぎると変形したり、つぶれたりしやすい。そこで軟らかい食品をそのままの状態でつかんで移動させるロボットハンドのニーズが高まっている。

 2019年4月からの販売開始に先んじて、福田屋製菓(本社静岡県沼津市)が2018年11月、自社製バウムクーヘンの製造ラインで導入した*1図2、3)。

*1 福田屋製菓の小西川社長は2018年6月、「国際食品工業展(FOOMA)2018」に出展したニッタのブースで、SOFTmaticsを見た。担当者の説明を受けてすぐに自社工場への導入を検討。同年8月にはニッタにサンプルのバウムクーヘンを送付。製造ラインに適応できそうだという感触を得て、既存ロボットのメーカーと協議し、ティーチングを済ませて12月の繁忙期直前、同年11月から稼働した。

図2 福田屋製菓の工場内
クリームを注入してカットしたバウムクーヘンを包装機へ移すライン。(写真:日経ものづくり)
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図3 バウムクーヘンをつかんだSOFTmatics
SOFTmaticsでつぶれないようにつかんだバウムクーヘンを、包装機上まで移動。(写真:日経ものづくり)
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 製造ラインで使用していた既存ロボットのロボットハンドと交換。2つのラインにそれぞれ3本ずつ、合計6本を導入。このために1日ラインを止め、翌日の朝から稼働させた。福田屋製菓代表取締役社長の小西川正樹氏によると、交換前のロボットハンドを使っていた時と同じ1時間で3600個のバウムクーヘンを取り扱い、つかめなかったり、落としてしまったりしたケースは1個も発生していないという。

「交換前は3%程度を落としていた」

 小西川社長によると、交換前のロボットハンドでは移動させるバウムクーヘンを「感覚値で3%程度は落としていた」。

 バウムクーヘンは金属のロールに生地を付けて焼き、その上にまた生地を付けて焼く作業を繰り返す。こうした作業によって5層の生地が重なり、樹木の年輪のように見える(バウムクーヘンはドイツ語で「木のケーキ」の意味)。繰り返し焼くのでどうしてもサイズにばらつきが出る。

 これに対して交換前のロボットハンドは、金属製の2本の「爪」が平行に動き、爪と爪の間を一定の幅まで縮めてワークをつかむタイプで、「遊び」がなかった。ワークであるバウムクーヘンの直径は約3.5cmだが、先述した通り繰り返し焼く製造過程でどうしても1mm程度の誤差は生じ得る。このバウムクーヘンの大きさのばらつきに、「遊び」のない金属製のロボットハンドが追従しきれないケースがあった。

 つかめなかったり、落としてしまったりしたバウムクーヘンは人が回収。包装機まで運んでいた。SOFTmaticsに交換後は100%落とさずに移動できているので、回収して包装機まで運ぶ手間が省け、無用の人件費をかけずに済んでいる。

 この他、ボールロック機構を採用したSOFTmaticsは、工具を使わずにアダプター部をねじるだけで着脱できるため、「簡単に着脱できるので格段に清掃しやすくなった」(小西川社長)。

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