NECは、高速カメラで撮影した画像を使って生産ライン上の製品を高速かつ高精度に検査する技術「高速カメラ物体認識技術」を開発した。東京大学大学院情報理工学系研究科の石川・妹尾研究室と共同開発したもので、同社の画像認識技術と、東京大学が持つ高速移動体の追跡技術を融合した。新技術を生産ラインに適用すれば、ラインの流れを止めることなく全数検査が可能になる。

* 今回開発した技術は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「IoT推進のための横断技術開発プロジェクト」のうち「高速ビジョンセンサネットワークによる実時間IoTシステムと応用技術開発」において実施された成果を基にしている。

 新技術は[1]高速でのワークの追跡、[2]画像選別、[3]複数画像を用いたリアルタイム認識の大きく3つの技術から成る。

 [1]は、高速で移動する対象物体を確実に捉える高速カメラの技術で、東大の研究成果を利用した。通常のカメラが30フレーム/秒程度の速度で撮影するのに対して、高速カメラは1000フレーム/秒ほどでの撮影が可能で、認識しやすい瞬間を確実に捉えられる。また、動きがスムーズに見えるので、フレーム内に複数のワークがあっても、軽量・高速な処理で対象物を追跡しつづけられるという。

認識繰り返して多数決で決定

 ただし、高速カメラで撮影するとデータが増えるためその後の処理量が膨大になり、時間がかかってしまう。そこで同社は、大量の画像の中から認識に適した画像を瞬時に選別する技術[2]と、認識精度を保ちながら処理の負荷を軽減する技術[3]を開発した。

 [2]では、[1]によって撮影時に得た物体の移動量などの情報に基づき、ブレが少ないものや輝度が高いもの、ピントが合っているもの、エッジが明瞭なもの、刻印の有無がはっきり写っているものといった判断基準(適合度)を設定する。この適合度を利用して、それぞれの画像が認識に有効か否かを人工知能(AI)が瞬時に判断し、認識処理に使う画像を抽出する。これによって画像の数や解析時間を数十分の1に減らす(図1)。

図1 高速カメラによる画像選別
撮像と対象物の追跡は東大の技術を、高速カメラによる大量の画像から認識に適した画像を複数選別する技術はNECの技術を用いている。(出所:NEC)
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